
今後は何を書きたいか? 何を書くべきか?
今村 なるほど。せっかく歴史小説家が七人も集まったんだから、ネタかぶりを防ぐためにも、まだ書いてないけど、今後書きたいと考えてるネタを披露しあえへん?
天野 いいね(笑)。やりましょう。
今村 まずは言い出しっぺの僕から。楠木正行と後村上天皇です。
武川 いいな~。
川越 面白そう。
今村 南朝の二代目たちの話ですね。勝負作になるような気がする。それこそ、天皇家に切り込む話にもなるから……。
天野 そのあたりがすごく難しいよね。
今村 うん。でも、プロットはOKが出たから、執筆開始がいつになるかわからんけど、絶対に書きます。あとはいつか“今村『西遊記』”と呼ばれるようなものを書きたい。北方謙三さんの水滸伝が、“北方『水滸伝』”と言われるように。
澤田 それは壮大ですね。私も将来的には、“澤田版『平家物語』”になるような大長編を書きたいと思ってます。ただ、現状決まっているものとなると、江戸時代初期の僧で、明朝の禅を日本に伝えた、隠元隆琦ですね。江戸初期の天皇家と幕府側の争いを、外国人である隠元から見た物語にしようかと。

1977年京都府生まれ。2010年『孤鷹の天』でデビュー。13年『満つる月の如し 仏師・定朝』で新田次郎文学賞、16年『若冲』で親鸞賞受賞。
天野 僕はチンギス・ハンの時代に大陸に渡った日本人の四代記を構想しています。最初の主人公が大陸に渡った後、モンゴルがどんどん大きくなっていくんですけど、中東、ヨーロッパを経て、四代目は元寇で日本に帰ってくるという流れを考えてます。
武川 上杉謙信を書きたいです。それも、一般的にイメージされる、「義」の人ではなく、酒乱でやりたい放題やってる謙信を書きたくて。ミクロ派な私ですけど(笑)、ちょっとメジャーな題材を扱おうかと。
澤田 上杉謙信って、メジャーな武将なのに、そんなに小説で多く書かれてないですよね。
今村 前に武川さんと電話で話してて、「メジャーどころを書かないと、編集者さんが泣くで」って言ったんです。「毛利はどう?」「上杉はどう?」とかしつこく話して(笑)。
武川 その話を聞いて、上杉謙信を書きたいって思うようになりました。

1981年神奈川県生まれ。2016年「鬼惑い」で「決戦!小説大賞」奨励賞を受賞。2017年『虎の牙』でデビュー。著書に『落梅の賦』など。
木下 次作は一休宗純を書こうと思ってます。一休さんから見た室町時代ですね。僕自身、中世のおかしな風習にすごく興味があるんです。室町6代目将軍・義教はくじ引きで将軍になったわけですけど、そういうのを一休さんが見たらどう感じるのかとか。
今村 ありそうでなかった話かも。
川越 企画力が違いますね……。僕がいつか書きたいのは、中米のハイチの話です。ハイチって黒人が独立して建国したんですが、めちゃくちゃ早い時期に憲法も作っていて。それを嫌がったナポレオンが軍隊をハイチに送ったところ、なんとハイチはナポレオンの軍隊を破るんですよ。
今村 ナポレオンって、ナポレオン3世?
川越 いや、18世紀に生まれたナポレオン・ボナパルトです。
今村 川越さんのネタこそ絶対に誰ともかぶらへんな(笑)。
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