戸籍は女性、性自認は男性――2006年、『ダブルハッピネス』で自身がトランスジェンダーであること、そして家族や仲間との関係を綴り、話題となった杉山文野さん。
あれから14年、杉山さんはLGBTQに関する様々な活動に携わりながら、パートナーの女性との間に子どもを持つ決断をした。
“ゲイの友人から精子提供を受け、3人で親になる”
その選択の裏には様々な葛藤や苦しみ、そして喜びがあった。
最新刊『元女子高生、パパになる』は、父として、LGBTQムーブメントのリーダーとして、社会の「普通」を問い直す奮闘記だ。
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――2作目となる『元女子高生、パパになる』では、ご自身のLGBTQに関する活動のほか、パートナーの方との関係や、子どもを持つ選択をして親になるまでの過程を描かれています。2冊目を書こうと思われたきっかけを教えてください。
『ダブルハッピネス』を出したのは、今から14年前です。当時はすごく珍しいものとして扱われて、注目もされたので、僕自身の環境も大きく変化しました。刊行してから2、3年後には「2冊目どう?」なんて話も冗談半分であったのですが、本を書くのってそう簡単なことではないですし、『ダブルハッピネス』で25歳くらいまでの自分の人生のことは書ききったなと思っていたので、具体的には進みませんでした。
転機となったのは、2015年、渋谷区で「同性パートナーシップ条例」が成立したことです。僕もこの条例の成立過程には深く関わっていたので、周囲の環境は以前と比べてさらに大きく変化していました。1冊目の刊行から10年近く経ち、振り返ってみると色々なことがあったなと思って、またもう1冊ぐらい何か機会があれば書きたいなと思い始めたんです。そうこうしているうちに文春の編集者さんに、声をかけていただきました。「書いたところで誰が読みたいのだろう?」という気持ちもあったのですが、編集者さんが「読みたい人はいっぱいいるよ」と言って下さって。ちょうどパートナーが1人目の子どもを妊娠しているときでもあったので、この子が生まれてくるタイミングで、自分の活動や人生について新たな本1冊にまとめてみよう、と思ったんです。
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『赤毛のアン論』松本侑子・著
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