――最近の子育て生活はいかがですか。
とにかく楽しいです。バタバタしながらも楽しくて、子どもは2歳になったのでだいぶ喋るようにもなりました。絶賛イヤイヤ期なので、ご飯を食べるのも歯を磨くのも、お風呂入るのも嫌がっていますね。今朝も保育園に送り出してきてから、ここに来ました。LGBTQとか、僕たちみたいに精子提供を受けて親になったというと、ものすごく珍しいことのように見られますが、実際の子育て生活は、そんなに皆さんと変わらないんじゃないかなあと思います。
――精子提供をした、杉山さんのゲイのご友人「ゴンちゃん」はどのように子育てに関わっていらっしゃるのでしょうか。
生活は別ですが、定期的に家に遊びに来るような形で関わっています。
昨日はちょうど彼女がいなかったので、ゴンちゃんが家に泊まりに来て、子どもの面倒をみていました。大人の手が多いに越したことはないな、というのは子どもを持ってから本当に実感しています。
僕たちだけではなくて、子どもにとっても一番良い状態で、子育てしたいなというふうに思っていたので、子作りをする前に弁護士さんのところに相談に行ったんです。その弁護士の方は、子どもの人権が専門の方なのですが、とにかく子どもにとっては血の繋がりとか、法的な関係性よりも、まず目の前に大人がどれだけ自分に真剣に関わってくれるか、というところがすごく大事だと仰っていて。さらに大人の手が少なくて困ることがあっても、多すぎて困ることはない、と。それは一つ僕たちが安心できたお話でもありました。
実際子育てを始めてみたら、子どもって本当に手がかかるんだ、と実感しています。
でも親が3人いるので、1人が何かあったとしても2人いますから、そういう意味では、何か本当に今の子育てっていうのは、すごく充実した環境で育ててきてるんじゃないかなと思います。
――杉山さんにとって、理想の社会とはどんな社会でしょうか。
決して僕たちの今の状態が正解だと言うつもりもないです。今は色々なライフスタイルがあって、「多様化する社会」ではなくて、すでに「多様な社会」なわけですが、世の中の「ルール」と「実生活」「現実」がちぐはぐになっているのが、今の社会の姿だと思います。その狭間で生きづらさを感じている人が多いのではないでしょうか。決してLGBTQだけではなく、いろんな形で苦しんでいらっしゃる方が多いのではないかというふうに思います。「こうあるべき」という押し付け合いではなく、お互いを応援できるような、そんな社会にしていきたいと思っています。この本がそのひとつのきっかけになれたら嬉しいですね。