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コロナショックは日本企業の分水嶺

コロナショックは日本企業の分水嶺

伊丹 敬之

『日本企業の復活力』(伊丹 敬之)

出典 : #文春新書
ジャンル : #政治・経済・ビジネス

『日本企業の復活力』(伊丹 敬之)

国のリトマス試験紙としてのコロナショック

 2020年1月、新型コロナウィルスの感染がまず中国で始まった。そして、中国とじつは経済上の関係が深いイタリアへ飛び火し、そこから欧州全体へ拡がった。感染は3月にはすでにアメリカにも拡がったが、その拡大経路は中国経由と欧州経由の両方であろう。さらに、日本も含めたアジア、南アメリカ、そしてアフリカへとまたたく間に全世界に感染が拡大していった。

 本書の最終校正をしている2020年12月14日には、世界全体の感染者数はほぼ7270万人、死者の数も162万人ほどとすさまじい規模になり、世界全体でいまだに増え続けている。1918年に始まったスペイン風邪以来の規模の、歴史的にも最大級の感染症パンデミックである。

 このパンデミックは、大きな健康被害をもたらすばかりでなく、世界各国で社会活動にも経済活動にも甚大な影響を与えている。日本では新型コロナウィルスによる禍を総称して「コロナ禍」という言葉を使うのがふつうだが、本書ではその禍がもたらす巨大な経済的マイナスのインパクトを表現するために、「コロナショック」という言葉を使うことにする。オイルショック、リーマンショックと同様の呼び方である。

 この新型コロナウィルスに今、世界中の国が試されている。コロナショックはまるで「国を試すリトマス試験紙」のように、各国の政府の政策、国民の行動、経済の耐久力、そして企業の対応力を試している。たとえば、感染がどこまで拡大し、その健康被害はどうなるか。経済はどこまで落ち込み、どんな回復パターンになりそうか。どこの国のどんな産業の企業が、ポストコロナの時代に発展していくのか。

 コロナショックが「国のリトマス試験紙」になる理由は、このウィルスがすべての国のすべての人々に感染する危険があり、それゆえに人々の生活のすべての面に影響を与えてしまうからだ。そして、その感染抑制のために、人と人との接触を大規模に制限する必要があると多くの人が思うからである。

日本企業の復活力
コロナショックを超えて
伊丹敬之

定価:1,045円(税込)発売日:2021年01月20日

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