「余命宣告」を受けた大人気声優が語るあの日のこと
「明日、朝から仕事なんですけど、何時頃に帰れそうですか?」
「帰れないと思いますよ」
2012年春、検査で訪れた病院での看護師さんとの会話。全身を何かしらの管に繋がれながら、「あれ?」と思った記憶があります。
たしかマネージャーたちは「仕事は続けられますから、いったん、とりあえず検査を受けましょう」と、しぶる私を3人がかりで病院に運びこんだはず。
私には持病がありました。さらに持病以外の病気も発症している可能性があると、長年お世話になっていた主治医に精密検査を勧められていました。定期検査のたびに精密検査を勧められるのが嫌になり通院をやめました。だって、絶対に悪い結果が出る。そう予測できるくらいには自覚症状がありました。悪い結果が出たら仕事をやめなきゃいけなくなる。だったら結果を出さなければいい。
当時、私がかかっていた民間療法を提唱する医師は、この体調不良を「強い薬を使い続けて身体に毒が溜まっているせいだ」と言いました。今の辛さは、「毒が排出されている一過性の辛さ」だと。なるほど、そうに違いない。だってこの薬が毒だというなら私は20年以上使い続けているのだから。
私は、持病があることも、通院をやめたことも、民間療法に頼っていることも、所属事務所に隠していました。
でも目に見える症状が出てきます。帯状疱疹が広がり、着られる衣装が限られました。身体がむくんで靴が履けなくなりました。立ったり座ったりするのに介助を要するようになり、収録はひとりきりでやらせてもらうようになりました。
そのうち横になると溺れているように息苦しくなり、座った状態じゃないと眠れなくなりました。
当時、私には『ひだまりスケッチ』や『涼宮ハルヒの憂鬱』といった長く関わっている作品やラジオ番組がありましたし、発売日や放送日が決まり、出演が発表された作品やゲームも、新しく始まったばかりのラジオ番組もありました。「明日も朝から仕事」するつもりだった私は、「いったん」訪れたその病院で、結局約1年暮らすことになりました。
こうして私は2012年5月に、仕事を一挙に降板。突然の休養を発表することになりました。
たくさんの降板ニュースが話題になり、ネット上にすぐに広まった「後藤邑子死亡説」に「気が早いだろう!」とひとり叫んで、ちょっと笑えました。
身体中になんらかの管が繋がれ、身動きもとれない状態でネットの噂に全力でツッコんだ自分に呆れたのです。こんな時でも噛みつくことだけは忘れないんだから。
ただ、この「後藤邑子死亡説」は後に笑い話ですまなくなります。
このあと私は、人生で2度目の余命宣告を受けることになるのです。
この本は、私が病める時も健やかなる時も腐る時もイキる時も泣いた時も病める時も、なんだかんだ元気だったという記録です。
発売ラインナップ (2023/9/10~2023/9/16)
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- タイトル
- 青春をクビになって
- 著者名
- 額賀澪
- 発売日
- 2023/09/11
- 作品紹介
- 青春小説家が描く、青春の終(しま)い方
「雇止め」という冷たい現実を前に、研究を愛するポスドクが下した決断とは――。社会に横たわる痛切な苦みを描く、著者新境地。
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- タイトル
- 神の呪われた子
- 著者名
- 石田衣良
- 発売日
- 2023/09/11
- 作品紹介
- インチキ教祖から宗教2世の少女を救い出せ!
ウイスキーバブル、過激な推し活、連続強盗団……停滞する日本で起こっているトラブルに、マコトが立ち向かう。シリーズ第19弾。
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- タイトル
- 君のために鐘は鳴る
- 著者名
- 王元 玉田誠
- 発売日
- 2023/09/12
- 作品紹介
- 21世紀の『十角館の殺人』がマレーシアから登場
デジタル機器に囲まれた日常の疲れを癒すデジタル・デトックスが行われた孤島で連続殺人事件が。島田荘司賞受賞の傑作21世紀本格。
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- タイトル
- 私は元気です
- 著者名
- 後藤邑子
- 発売日
- 2023/09/12
- 作品紹介
- 「余命宣告」を受けた大人気声優が語るあの日のこと
『涼宮ハルヒの憂鬱』の朝比奈みくる役で大人気だった後藤は、人気絶頂の中、突然無期限の活動休止を発表。彼女に何が起きたのか。
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- タイトル
- イーロン・マスク 上
- 著者名
- ウォルター・アイザックソン 井口耕二
- 発売日
- 2023/09/13
- 作品紹介
- 今年一番の話題作! マスク自身が語り尽した初の公式伝記
「私は苦しみが原点なのです」。知られざる壮絶な人生を、ベストセラー「スティーブ・ジョブズ」伝記作家が赤裸々に描く。
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- タイトル
- イーロン・マスク 下
- 著者名
- ウォルター・アイザックソン 井口耕二
- 発売日
- 2023/09/13
- 作品紹介
- 世界同時発売! 本書を読まずして未来は語れない
稀代のイノベーターは、人類をどこに導くのか。電気自動車、ツイッター、AI、そして宇宙。壮大なるビジョンが本書で明かされる。
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- タイトル
- 街場の成熟論
- 著者名
- 内田樹
- 発売日
- 2023/09/13
- 作品紹介
- 非常識で、冷笑的な人々が増えたこの国で
なぜ複雑な話は「複雑なまま」扱ったほうがよいのか?親切、品位、勇気…失われゆく徳目を明らかにし「大人の頭数」を増やす本。