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「気持ちを新たにできる」「まさに令和の教科書」。伊与原新さんの青春科学小説『宙わたる教室』を、教育現場の先生方はどう読んだのか!?

「気持ちを新たにできる」「まさに令和の教科書」。伊与原新さんの青春科学小説『宙わたる教室』を、教育現場の先生方はどう読んだのか!?

『宙(そら)わたる教室』(伊与原 新)


ジャンル : #エンタメ・ミステリ

『宙わたる教室』(伊与原 新)

伊与原新さんの最新刊『宙わたる教室』。今年一番熱い<青春科学小説>を「高校生直木賞」に参加している、全国の中学・高校の先生方に読んでいただきました。

定時制高校の科学部を舞台に、抱える事情も年代も様々な科学部メンバーが、ユニークな実験に挑む本作を、日々教壇に立ち、あるいは図書館司書として、高校生たちと実際に向き合っている先生方は、どうリアルに感じたのでしょうか――。(前編)


三輪田学園中学校・高等学校国語科教諭 千葉未緒先生
「好きだから学ぶ」という人間の根源的な欲求を持ち続けること、満たし続けることの難しさを思いながら読み進めました。
読み始めるまで全く知らなかった科学部のメンバーや先生を、気がついたら必死で応援していました。
学校も、そういう出会いがある場所だと思います。岳人の言う通り、学校って不思議なところです。
ずっと不思議であり続けたいと、気持ちを新たにできる物語でした。

渋谷教育学園幕張中学校・高等学校司書 岡﨑那菜先生
理科教師の藤竹が定時制高校の生徒たちを科学部に引き入れるために見せる科学現象の数々は、生徒たちだけでなく読者である私たちまで魅了します。
新しいことを知る楽しさ、何歳になっても何かに一生懸命取り組むことの大切さに気づくと同時に、普段見落としていた不思議でキラキラしたこの地球の科学現象に心動かされる科学青春小説でした。
定時制高校の夜の教室という暗闇の中だからこそ、一層科学現象の輝き、そして彼らの青春の輝きに目を奪われると思います。

三輪田学園中学校・高等学校司書 五十嵐美穂先生
これは、令和の「君たちはどう生きるか」だ。
令和の子ども達は児童も生徒も学生も、またおとな達も年齢・国籍をはじめひとりひとりの背景は様々で、まさにダイバシティである。そして、だからこそダイバシティの時代ならではの「どう生きるか」という問いを突きつけられている。
情報とモノは溢れているが肝心なものは手に入らない。一方で「先が見えない」時代ともいわれ、閉塞感が声高に問題とされる風潮にあって、押し潰されたり、引きずり下ろされたり、看過されたりして、もがき、あがきながら這い上がれずにいる。
そんな時代を「どう生きるのか」と問いを立てて、考える。まさに令和の読書ではないだろうか。
格差や差別、自傷行為や家庭内暴力、学習障害に薬物に労災、労働問題や移民問題といった、決して明るくはないモティーフをつなぎ合わせながら物語は進むが、「学び」を欲する心は生きる力となるところに希望がある。

横浜富士見丘学園中学校・高等学校司書 榎戸好美先生
「この学校には、何だってある」と定時制高校の藤竹先生は言う。
さまざまな事情を抱えた生徒たちに前を向いて歩く場所ができる。
「普通にする」「ちゃんとした」、この言葉を聞くたび心がざわざわし切なくなるが、そんな枠決めはないってことを示してくれた。
定時制高校だけじゃない。私たちが今いるところにも、手を伸ばせば届くところにいろいろなものがあるのに、目をつぶって見ない。
そして扉を開けるのが怖くて手を伸ばしてつかもうとしない。
定時制高校科学部のこの生徒たちを見ていると、少しだけ扉の隙間から外を覗いてみようかな、手を伸ばそうかなと思えて、そしてだれかに「話を聞いて」「手を貸して」といえるかもしれない。


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単行本
宙わたる教室
伊与原新

定価:1,760円(税込)発売日:2023年10月20日

電子書籍
宙わたる教室
伊与原新

発売日:2023年10月20日

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