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「もっと何かに熱中したい」「学びの機会は平等」。伊与原新さんの青春科学小説『宙わたる教室』を現役高校生がリアルに読んだ!

「もっと何かに熱中したい」「学びの機会は平等」。伊与原新さんの青春科学小説『宙わたる教室』を現役高校生がリアルに読んだ!

『宙(そら)わたる教室』(伊与原 新)


ジャンル : #エンタメ・ミステリ

『宙わたる教室』(伊与原 新)

高校生自身が直木賞候補作を読み、議論しながら「自分たちの一作」を選び出す「高校生直木賞」。全国の本好きの高校生たちが、一堂に会した熱い選考会の末、これまで伊吹有喜さんの『雲を紡ぐ』、加藤シゲアキさんの『オルタネート』、逢坂冬馬さんの『同志少女よ、敵を撃て』、凪良ゆうさんの『汝、星のごとく』などを、受賞作に選んできています。

そこで、発売直後から話題を集めている、定時制高校を舞台にした伊与原新さんの青春科学小説『宙わたる教室』を、高校生直木賞参加校の生徒さんたちに読んでいただきました。等身大の作品への率直な感想をお届けします。(第1回/全3回)


向上高等学校 石田吹さん
私はこの作品を読み、もっと何かに熱中したいと思いました。
物語の初め、歳も人種も異なる人々が定時制に集まる。 明るい光、未来など、一切感じられない世界のように映った。 登場人物それぞれの印象も、難ありだと勝手に思い込んだ。 
しかし、それぞれが実際に成長してみると、個性が磨かれ、輝き始めた。 実は、ダイヤの原石をみんなが持っていたということに、気付かされた。 
 様々なアイデアと協力で生まれた火星。 岳人たちが発表している時、みんなの思いが一箇所に集まる。ここに、私は大きな集大成を感じました。 
自らの情熱を抑えた自動的な生き方は、したくないと思いました。

都立南多摩中等教育学校 I・Dさん
ページを捲る手が止まらなかったです。
科学に魅せられた登場人物たちの姿からは、いつ、どこで、どんな人にでも、『科学』は私たちを楽しませてくれるのだということを。
そして、様々な年代、境遇の人たちが『実験』を通して時に喜び、時に頭を捻り、時に熱くなる姿は、『青春』はいつまでも私たちの中にあるのだということを感じさせてくれました。

都立国立高等学校 斎藤愛央さん
今まで全日制の学校の話は読んだことがあった、が定時制高校の話は読んだことがなく、働きながら学校に通う大人たち、私より年上の彼らの姿はとても新鮮だった。
大人と言われるとあまり悩みがなかったり、うまく解決して立ち回れたり、たとえ悩みがあってもそれは私たちの悩みより上のレベルの内容ではないかと思いがちだが、同じ人間として色々な悩みがあると気づかされた。
一人一人自分の現状に悩み、高校退学を考えるまでに苦しみつつも前に進もうとする姿が、どの話でもとても印象的かつ、一人一人のキャラが個性的すぎて、全員が推しキャラなくらいだが、彼らが一つになって行動し作り上げるときの団結感、協調生があるとかではなくてもなくても一人一人が自分の役割があってそれは他の誰でもだめでその人がいるからその人がいるから成り立っている、というようなまとまり感がとてもよかったし羨ましくもあった。
大人が主人公の話なのに、彼らの心情描写が丁寧に繊細に描かれていたからか、高校生の私でも、高校生の私でも共感したり、物語に入り込んで読むことができた。題名の『宙わたる教室』という意味が最後にわかって、全ての伏線が回収され、気持ちがぱっと晴れるような瞬間が気持ちよかった。

三輪田学園 栗原愛奈さん
文章もその中の登場人物たちの感情もとても繊細に描かれていてとても魅力的でした。
伊与原さんの作り出す文章やストーリーが大好きです!

渋谷教育学園幕張高等学校 李雨佳さん
物語全体が、第三者の視点から書き通されいて、読みやすかったです。
化学の実験については、それぞれ詳しく書いてあって勉強になりました。
どんな人でも学びの機会は平等にあるのだと実感しました。最近勉強が上手くいかなくて、叱られてばかりで辛かったのですが、この本を読んでまた学びたいと思えるようになりました。

向上高等学校 栗原汐音さん
定時制高校が舞台の小説を初めて読んだのですが、知らなくても理解出来るようになっており、物語を深く楽しむことができたと思います。
また、登場人物たちの会話のテンポが良く、スラスラ読み進めることができました。最後まで読む手が止まらなかったです。

三輪田学園高等学校 山本煌子さん
化学が得意ではない人物の目線から基本描かれる為、説明がわかりやすくされており科学があまり得意でない私でもさくさく読めました。
一見共通点も何もないように見える人物たちが学校という場を通して団結する姿を見て、具体的に言葉にはできませんが学校に通う意義を感じとりました。
学校という悪いこともたくさんあるけれど、それでもいきたくなってしまう不思議な空間だということが度々描かれており、通っている意味ですが、わかるわかると頷いてしまいました。
定時制というのは名前を知っている程度だったので、自分の知らない世界を知れてよかったです。実際に会った話が元になっているのも驚きです。
全体的に謎の多かった、顧問の藤竹先生の目的と、人間らしい様が後半できちんと描かれているのがよかったし、暗い過去があってもそれを解決しようと無理やり他の人が動こうとする展開がないのも現実味があっていいなと思いました。とても面白かったです。
重すぎず軽すぎない、それでいて青空のように澄んでいる雰囲気の本作が好きです。


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単行本
宙わたる教室
伊与原新

定価:1,760円(税込)発売日:2023年10月20日

電子書籍
宙わたる教室
伊与原新

発売日:2023年10月20日

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