- 2023.11.22
- 特集
編集長が語る【オールの讀みどころ】 12月号は「時代小説大賞」発表と東野圭吾さん「探偵ガリレオ」久しぶりの登場です!
文:「オール讀物」編集部
ジャンル :
#小説
,#エンタメ・ミステリ
,#歴史・時代小説
「本の話」を読んでくださっているみなさん、こんにちは。いつもご愛読ありがとうございます! 編集長の石井です。
5人の精鋭(?)でつくっているオール讀物ですが、部員の紹介、日ごろ編集部で起きている事件については、note連載の編集部だより「オールの小部屋から」で発信しておりますので、ぜひチェックしてください!
こちら「本の話」の月イチ連載「オールの讀みどころ」では、最新号について、編集部員がどんなところに力を入れたか、渾身の企画を紹介していきたいと思っています。
というわけで、オール讀物12月号です。
最大の目玉は、年末恒例のビッグイベント「本屋が選ぶ時代小説大賞」です。13回目を迎えた2023年の選考委員は、北川恭子(旭屋書店アトレヴィ大塚店)、栗澤順一(さわや書店外商部兼商品管理部)、久田かおり(精文館書店中島新町店)、吉野裕司(紀伊國屋書店新宿本店)の4氏。書店界の大物が一堂に会して、寒さを忘れて激論を戦わせました。
栄冠に輝いたのは、村木嵐さん『まいまいつぶろ』(幻冬舎)。ありがたいことに受賞決定と同時に重版がかかったそうで、「本屋が選ぶ時代小説大賞」受賞オビとともに書店に並んでいます。
江戸幕府9代将軍・徳川家重を描いた『まいまいつぶろ』には、「とにかく泣けた」「もう涙、涙」「泣かずに読める人はいない」との感動の弁が続々集まりました。いっぽう次点の高瀬乃一さん『貸本屋おせん』にも、「本を売る主人公が魅力的」「本の蘊蓄がうまく謎解きに結びついている」と強い推挽があり、最後の最後まで議論は尽きず――。白熱した選考の模様を座談会記事として掲載しているほか、大矢博子さん、末國善己さん、縄田一男さんから2023年のおすすめ歴史時代小説10作を挙げてもらっています。これらの記事をチェックすれば、今年1年の歴史時代小説の収穫がすべてわかると言ってよいでしょう。年末年始の読書ガイドに必携です!
あわせて歴代の本賞受賞者である永井紗耶子さん「秘仏の扉」、砂原浩太朗さん「藩邸差配役日日控」新シーズン、木下昌輝さんの新境地「恋双六」が並び、西條奈加さん「狸穴屋お始末日記」、畠中恵さん「まんまこと」、織守きょうやさん「蛇目の佐吉捕り物帖」、クリスティのミス・マープルを江戸に甦らせた諸田玲子さん「おまあ推理帖」など、人気シリーズ最新読切も目白押しです。
さて、オールの人気時代小説といえば、夢枕獏さんの「陰陽師」にとどめをさすのではないでしょうか。夢枕さんほか、澤田瞳子さん、蝉谷めぐ実さん、武川佑さん一行が千葉県佐倉市・国立歴史民俗博物館で開催中の「陰陽師とは何者か」展(~12月10日まで)を見学し、そのまま楽しいお喋りへとなだれこむ大座談会「『陰陽師』が好きすぎる!」を企画(私はこの“大人の遠足”の運転手を務めました! 事故なく送迎できてホッとしてます)。「陰陽師とは」という真面目なトーンで始まったはずの座談が、みるみるうちに夢枕さんを囲むファンミーティング(!?)へと変貌していくさまを誌面で味わっていただけたらと思います。
個人的には、夢枕さんが「源博雅のキャラをどう作ったか」を語っているとき、感極まった武川さんが目を潤ませ、相槌を打とうとして言葉に詰まってらしたのが印象的でした。「陰陽師っていいなあ」と心から思える座談会になったと思います。ちょうど映画「陰陽師0」の2024年GW公開が発表されたばかり。これからの「陰陽師」の新展開にも注目してください! 新年号でもスペシャル企画をお届けする予定です。
もう1つ、歴史関連の企画として必読なのは、髙見澤俊彦さんの「神様の話をしよう」です。こちらは8月、神田明神で開催された「えびす祭」でのトークイベントを記事化したもの。
髙見澤さんの新刊『特撮家族』で神田明神が重要な舞台となり、少彦名命(すくなひこなのみこと)が大活躍することはすでにご存じの方も多いと思います。折しも今年は、少彦名命が神田明神にお祀りされて150年の節目の年ということで、祭りとともに髙見澤さんのトークイベントが行われることになりました。聞き手は、神田神社(神田明神の正式名称)で禰宜を務める岸川雅範さん。『特撮家族』をオールに連載するにあたり、髙見澤さんは何度も神田明神を訪ねて取材をしているのですが、その際、神様について丁寧に教えてくださったのが岸川さんなのでした。
おふたりのトークは、少彦名命の紹介、日本の神様の歴史、神様と人との関わりへと広がっていくのですが、中でも、髙見澤さんが鎌倉時代の「御成敗式目」を引用しつつ、古来のお祭りと音楽には共通点がある、と指摘されたのには、目からウロコが落ちる思いでした。
年末恒例のミステリー特集で特筆すべきは、三越350周年コラボ企画として、東野圭吾さんの「探偵ガリレオ」最新作をお届けできたこと。湯川学の推理をご堪能いただけたら幸いです。
ほか、警察小説特集として、佐々木譲さんの新連載「秋葉断層」に要注目! 警視庁特命捜査対策室に所属する水戸部刑事が未解決事件に挑む人気シリーズ。今回の舞台は秋葉原で、27年前の轢き逃げ事件を再捜査していくことになります。水戸部シリーズのオール連載は『地層捜査』以来で、東野さんの「ガリレオ」とともに12年ぶりの登場となります。
警察特集では、おなじみ今野敏さん「倉島警部補」ほか、長岡弘樹さん「交番相談員」、大山誠一郎さん「赤い博物館」シリーズの新作も掲載。寒い季節に捜査と謎解きを楽しんでいただけたらと思います。
菊池寛以来、将棋との縁が深いオール讀物ですが、藤井聡太八冠獲得を祝し、日本将棋連盟前会長の佐藤康光九段「緻密流将棋日記」のほか、ノンフィクション作家・後藤正治さんに観戦記を執筆していただきました。
最後にもうひとつ大事なお知らせが!
「絶対、『小説家』になる!」を特集したオール11月号をテキストに、今年も「歴史時代小説書き方講座2023」(講師・門井慶喜+ゲスト作家3名)をオンライン開催します。
■12月9日(土)16時から18時まで(アーカイブあり)
オール讀物11月号をセットでお送りする上記講座チケットを、hontoさんにて限定発売しております(詳細はこちら/販売期間は12月1日まで)。新人賞の選考委員である門井さん自ら選考の決め手を振り返るほか、私たち編集部員も登壇して、きわめて実践的な講座にしようと思っております。多くの方のご参加をお待ちしています!
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