- 2024.04.05
- 読書オンライン
「知力アップに効くのは、語学とダンス!」脳科学の新常識で、脳のパフォーマンスは最大限になる
「本の話」編集部
『世界の最新メソッドを医学博士が一冊にまとめた 最強脳のつくり方大全』が教えてくれること #4
〈【悲報】「脳トレで頭はよくならない!」脳科学の新常識が教える“不都合な真実”〉から続く
「脳トレは知力アップには役に立たない」――“脳トレブーム”に反するこのショッキングな結論は、最新の脳科学研究がくだしたものだ。その一方で、知力アップに最も効く「2つの活動」があるという。脳の健康に重要なことを完全網羅した話題書『世界の最新メソッドを医学博士が一冊にまとめた 最強脳のつくり方大全』(文藝春秋刊)が明かした、意外な「2つの活動」とは。
脳を鍛えるトレーニングには、大別して2つのアプローチがあることが、動物実験によって明らかになっています。つまり、メンタルトレーニングで脳細胞の減少を食い止めながら、身体的トレーニングで脳細胞を増やしていけばよいのです。
これらの条件に当てはまるのが以下の活動となります。
・楽器の演奏
・初めて体験するカードゲーム
・太極拳、ジャグリングなど、複雑でやったことのない身体的活動
2014年の研究によれば、太極拳はマルチタスク能力や時間の管理能力などの実行機能が向上するだけでなく、脳の特定の領域の体積が増えることがわかっています。また、軽度認知障害の高齢者では、他の運動以上に太極拳をおこなうことで認知低下の速度が遅くなり、認知能力が向上する、という成果が出ています。
「語学学習」は海馬を大きくし、認知症の進行を遅らせる
ただ、研究の数だけでいうと、今挙げた3つよりも、はるかに多くの研究データが「効果あり」と認定している活動が2つあります。
まず1つ目は、語学学習です。
・2012年、スウェーデン軍士官学校の語学留学生と、語学を学んでいない学生を比較した研究があります。両者に3ヶ月間、同じ難易度の学習課題を課し、その実験の開始時と終了時に脳画像を撮影した。すると、終了時には語学を学んだ学生の脳のいくつかの部分が大きくなっていたが、語学を学ばなかった学生の脳は変化がなかった。
脳のさまざまな部分が大きくなる傾向がありましたが、特に大きくなったのは脳の海馬(記憶中枢を司る部分)。しかも語学が苦手で、一生懸命努力した者の脳の方がより大きくなったのです。また、習熟度が進んだかどうかよりも、「どれだけ努力して語学習得に取り組んだか」が、脳が大きくなることと関連があることがわかりました。
ちなみにいわゆるバイリンガル、複数の言語を使いこなせる人の脳は、右脳と左脳の情報交換が活発で、前頭葉の灰白質(情報処理を司る組織)が大きい、とされています。
もうひとつ、イタリアでの研究成果を示します。
・同程度の認知症患者で、バイリンガルとモノリンガル(言語を一つしか話さない)85人の脳の画像を解析したら、バイリンガル群が5歳年上だったにもかかわらず、モノリンガル群の進行度と同じだった。
これは、バイリンガルであることが認知症の進行を遅らせている、と考えられます。
何歳であれ、外国語を学ぶことは、間違いなく認知機能を刺激する活動、といえるのです。
難しいダンスを習えば、脳が大きくなる!
そしてもう一つの「脳に効く活動」、それはダンスです。
まずはカリフォルニア大学アーヴァイン校が行ったアンケートを紹介します。ダンス教室に通う200人以上の生徒のうち、ダンスによって
・82%の人が、記憶力や新しいことを学ぶ能力が向上した
・70%の人が、集中力や注意力が持続するようになった
・95%の人が、情動面で日常的に良い影響が得られている
と答えています。ただこれだけでは、趣味全般の一般的な効果との違いがあまり見えてきません。
ではもうひとつ、こんな研究結果はいかがでしょうか。
60歳から79歳の、認知障害がない健康な被験者を対象に、ウォーキングや栄養摂取、体操、ストレッチなどさまざまな活動や運動を半年間続けることで、脳にどんな変化があったかを調べたものです。
・認知障害がない健康な174名に、難易度の高いダンスのレッスンを半年受けさせて、レッスン開始時と6カ月後の脳の画像を比較しつつ、思考力テストも2度受けてもらったところ、半年間で脳の白質(脳の処理速度や新しい情報を理解して反応する能力に関与している部分)が増えた。一方、ウォーキングやウォーキング+栄養摂取、ストレッチなどの体操を行ったグループの白質は減っていた。
・2017年ドイツで、高齢の被験者による、ダンスと同程度の負荷の「有酸素運動」を半年間つづけたことによる脳の変化をみたところ、ダンスをしていたグループだけ、脳の4つの部分の量が大幅に増えていた。
いずれも運動ですから、身体にさまざまなよい影響があることはおわかりいただけると思いますが、ダンスは特別に「脳に効く」運動、ということがいえそうです。
ダンスは、“脳の回線“を配線しなおす
それは、特に自由形式のダンスには瞬時の判断が必須で、脳は回路を配線しなおす必要がある、とされているからです。再配線はまさに、脳の働き方が外的刺激で変わっていくこと=神経可塑性が起きている、ということ。たとえば脳疾患で運動障害が残ったとしても、リハビリで回復するようになるのは、まさにこの神経可塑性のたまものです。損傷したはずの脳神経回路の周辺に、新たな神経回路ができ、そこがうまく働くことで以前と同じ動きができるようになる。それとメカニズムは一緒、と考えていいのです。
「日本における認知症の高齢者人口の将来推計に関する研究」の推計では、65歳以上の認知症患者数は(各年齢の認知症有病率が一定の場合)、2025年には約675万人(有病率18.5%)と5.4人に1人程度が認知症になると予測されています。
この数字をすこしでも良くする一つの処方箋、それが「ダンス」なのです。
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