- 2024.10.25
- 特集
「幸福感が胸いっぱいに」「あきれながらも愛おしい」――朝倉かすみさん最新作『よむよむかたる』を読んだら「時間の流れが優しくなった」。
『よむよむかたる』(朝倉 かすみ)
ジャンル :
#小説
,#エンタメ・ミステリ
『平場の月』『にぎやかな落日』など数々の作品で鮮烈な印象を残す朝倉さん。9月19日に発売された最新作『よむよむかたる』は、自身の母の参加する「ちいさな集まり」に着想を得た心温まる小説です。
喫茶シトロンに毎月集まるのは、下は78から上は92歳までの6人の老人たち。本を片手に「ヤァヤァ、どうも、どうもでした」と集まれば、思い思いに本を朗読し、感想を述べあう。仲間の声に耳を傾け(傾けないことも多々)、自由で和やかな(時に剣呑な)時間が流れてゆく――。
そんな読書会を巡る新刊には、発売前に見本版を読んでくださった書店員さんから反響が続々。全国から届いた感動の声をお届けします!(第10回/全10回予定)
Book Yard. CHAPTER3 川本梓さん
幸福感が胸いっぱいに広がって、温かくなる素敵な物語でした。
今でも会長がおこり顔で立ち、シルバニアとマンマがやいのやいの声を上げ、まちゃえさんがやんわりと話し出すその背中をそっとなでるシンちゃん。蝶ネクタイがやっくんに補足説明している……そんな喫茶シトロンでの1シーンが浮かんできて、笑顔になる。なんだか私も〈坂の途中で本を読む会〉の一員になったような気持ちでいっぱいです。
紀伊國屋書店天王寺ミオ店 西澤しおりさん
老人たちの朗読の声、喫茶シトロンのコーヒーの香り、おいしいオヤツが、その本の1ページとなって重なっていくようでした。
読書会で本と人がお互いを深め合う。
こんな読書の楽しみ方があるんだ!と、改めて本が愛おしく思えました。
須原屋コルソ店 大瀧裕子さん
こんな読書会があれば、是非参加したいです! 年老いた実家の母も同じ想いだと思います。
一冊の本を一節一節音読し、その感想を述べた後、解釈について皆で語り合う…こんな読書体験はしたことがなく、いつも一人で読んで、せいぜい周りの知り合いと感想を言い合った事しかなかったので新たな読書体験ができそうですよね。
そして、この物語は、まわりのご老人(ご老人に限らず、“他の人”と置き換えても)と知り合うことで、その他でなく、特別な人となり得るのだということを、あたたかく伝えてくれていて最高でした。人となり、吐息や泣き笑いの描写もまさにそんな感じ!! とうまいなあ(失礼ですね)としみじみ思いました。
I・Yさん
自分自身も「坂の途中で本を読む会」の一員になったような気持ちです。
好き勝手にしゃべる老人たちに、最初はハラハラしましたが、だんだんと愉快な気分になっていきました。
後半、記念誌のみなさんのエッセイがとても素敵で、中でもマンマさんの、「その人らしさ」というよりもっと強烈な「その人でしかなさ」という言葉が、心に響きました。
良いところも悪いところも全部、あきれながらも愛おしい、そんな幸せな気持ちになりました。
井上さん、良かったです。キャラクターも魅力的で、話の展開としてもそこに繋がるのか!と楽しく読みました。
あと、「だれも知らない小さな国」は、物語の楽しさを知るきっかけになった、思い入れの強い本なので嬉しかったです。
くまざわ書店鷲宮店 稲田容子さん
読みすすむにつれ、亡くなった祖母を思い出しました。祖母は厳しいけれど明るく社交的な人だった。色々な習いごとに参加しており、仲間うちで旅行なども行っていた。
きっと、作中の会のような雰囲気だったのだろうと思い、胸が詰まった。
自分がもし、安田と同じ立場にならざるを得ないとなったら、手放しでとは言い難いが喜んで引き受けると思う。
ブックマルシェ 渡邉森夫さん
生き甲斐と呼べるものを私はまだ持っていない。
人生の長い時間をともにしたいという趣味もないが、この読書会は何とも微笑ましい。
SNSで繋がる関係だけでなく、おやつや私語が多めでも見解に私事が絡んでも、人と繋がる明るさ、強さで輝いている。
先にある楽しみほど人生を明るくしてくれるサプリはないのかもしれない。
福岡金文堂志摩店 伊賀理江子さん
なんて包容力。
この作品を読んでいるあいだ、時間の流れが優しくなった気がした。
歳を重ねたひとたちがこんなに楽しんでいるのを見せてくれたら、こんなにも幸せな気持ちになるのか。
いま生きているひとみんながいつかは死ぬ。
その「いつか」が来るまでできるだけ沢山笑いたい、できるだけ友達とおしゃべりしたい、ひとと関わっていたい、と希望を抱きしめた。
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