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作家の羽休み――「第104回:新グッズ『山内の香 桜花宮』発売決定!」

作家の羽休み――「第104回:新グッズ『山内の香 桜花宮』発売決定!」

阿部 智里


ジャンル : #エンタメ・ミステリ

 新刊『亡霊の烏』発売を記念してポップアップショップが拡大されたことはすでにお知らせした通りですが、今回新たに新グッズ「山内の香 桜花宮」が発売されることになりました!

 以前より、「グッズを作るのならば四家と宗家のお香を作ってみたいんですよね~」とあちこちで言っていたのですが、まずは家ではなく場所にフォーカスをして、「桜花宮ってこんな香りがしているのでは……?」という感じのお香のお届けとなります。

 実は、もともとのコンセプトでは「山内をイメージした香りにしましょう!」という感じでした。火を使いますし、文藝春秋のサロンや会議室で何本ものお香を焚くのは現実的ではないので、試香は都内にある私の仕事場で行うことになりました。

 時期はちょうど最新刊となる『亡霊の烏』の再校ゲラ作業の受け渡し時期です。

 あれこれ言いながら作業机でゲラの受け渡し作業を終え、各種打ち合わせが終了した後、いよいよといった体で現れたのが、大量の「山内っぽいお香」のサンプルでした。

 私は前々からお香が大好きでしたので、家には「なんでこんなにあるんですか!?」と来客にびっくりされるくらいの数のお香立てがあります。

 匂いが混ざってしまっては困るので、ひとつ試すごとに換気を行い、場所を変え、リフレッシュするために廊下と仕事部屋を行ったり来たりしながら、担当編集さんとキャッキャと大量のサンプルを試させて頂きました。

 探していたのは「山内をイメージした香り」だったのですが、この「山内」の解釈もやはり様々でして、試しているうちに、四大貴族とか、特定のキャラクターとかを想起させるものなども出てきました。

「これ、スパイシーな感じが、なんか南家っぽくないですか?」
「南家っぽいというか個人的には路近のイメージですね」
「いつかキャラごとのお香とか作っても面白いかもしれないですよね」
「まあ、言うだけならタダですからね~」

 などと言い合いながら色々な香りを楽しんでいた最中、とある一本に火をつけた瞬間、私と編集さんは顔を見合わせたのです。

「あの……なんか……桜花宮っぽくないですか?」
「私も今、おんなじことを言おうとしてました」

 探していたのは「山内をイメージした香り」だったのですが、山内全体というよりも、いかにも桜花宮っぽい香りと出会ってしまったのです。

 特定の姫の匂いとか、どこかの家の伝統的なお香とかではなく、桜が満開の時期の桜花宮の花見台で、色々な女性が集まっていらっしゃる時などは、きっとこのようなすばらしい香りがするのでしょうね……といった感じでした。

 しかし、今求められているのは「山内っぽいお香」です。

 全てを試し終わった後、神域みたいな水の匂いを思わせるサンプル(こちらも大変良い香りで個人的なお気に入りでした)にも出会えたのですが、売り出す時期と合わせて考えても、桜花宮パフュームを皆様にお届けしたい気持ちは捨てきれませんでした。

「ええ~? このサンプル、めっちゃ素敵な香りですけど、でも最初に設定したコンセプトからは外れちゃいますよね……?」

「ここは一旦社に持ち帰って、『山内の香 桜花宮』として提案してみます!」

 私と同調して「これは絶対桜花宮ですよ! この絶妙なトリップ感を読者の皆様にもお届けしたい!」と力強く言い切った編集さんが決然たる足取りでお帰りになった結果、「山内の香 桜花宮」はめでたく発売と相成りました。

重厚感のあるBOXは「桜花宮イメージ」のロゴを特別に入れました

 オマケに、文藝春秋のお正月広告でお目見えした、名司生さんによる雪哉のポストカードも付けて頂けることになりました! 箱やポストカードのデザインは、いつも八咫烏シリーズ関係の諸々を一手に引き受けて下さっている敏腕デザイナー、野中深雪さんに手がけて頂きました!

名司生さんの描かれた雪哉のポストカードも特典でついてきます

 桜花宮イメージのお香12本とお花のワンポイントの入ったお香立て、そして名司生さんの雪哉ポストカードのセットで、お値段は3500円+税となります。

 今回のお香は受注商品で、3月24日から始まる大垣書店京都本店のPOPUPショップか、あるいは八咫烏シリーズ公式グッズショップでご注文頂けます!

 大垣書店京都本店のPOPUPショップでは実物を展示しており(火をつけてのお試しは出来ないかもしれませんが)、受注を現地でも受け付けて下さるとのこと。受け取りは、書店店頭か配送(送料は別途かかります)が選べます。

 また、八咫烏シリーズ公式グッズショップでは以下のURLから、3月24日より受け付け開始です! お届けは、受け付け終了後、約2ヵ月半ほどを予定しております。

お申し込み ⇒ https://kana-pro.com/category/YATAGARASU/

 もし気になった方がいらっしゃったら、是非桜の時期に、桜花宮の香りを一緒に体験頂ければ幸いです!


©阿部智里

阿部智里(あべ・ちさと) 1991年、群馬県前橋市生まれ。早稲田大学文化構想学部在学中の2012年、『烏に単は似合わない』で松本清張賞を史上最年少で受賞。17年、早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。デビュー作から続く壮大な和風大河ファンタジー「八咫烏」シリーズは現在は第2部へと突入、外伝も含めて『望月の烏』で12冊を数える。24年、吉川英治文庫賞受賞、4月からNHKアニメ「烏は主を選ばない」が放送。ほかの作品に『発現』など。

【公式Twitter】 https://twitter.com/yatagarasu_abc

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