- 2015.11.18
- 書評
小説好き注目! 知らない作家に出会いたいならアンソロジー
文:近藤 史恵 (作家)
『アンソロジー 捨てる』 (大崎梢・近藤史恵・篠田真由美・柴田よしき・永嶋恵美・新津きよみ・福田和代・松村比呂美・光原百合 著)
ジャンル :
#エンタメ・ミステリ
そもそも今は、短編を発表しにくい時代です。純粋な短編集はなかなか売れないですし、売れっ子さんしか出せません。
わたしも短編は大好きですが、本にまとまらないとなると、雑誌などでも書きにくく、連作短編という形にしてしまうことになります。
雑誌で書くことができても、一ヶ月で書店から消えてしまいます。
でも、短編小説は魅力的な形式ですし、連作ではない単発の短編でしか描けない世界はあります。短編小説の魅力をもっと多くの読者さんに知ってほしいし、短編が好きな読者の方もたくさんいらっしゃるはずです。
アンソロジーは、知らない作家に出会うきっかけにもなります。いきなり知らない作家の本に手を伸ばすことは冒険でも、アンソロジーで気に入った作家ならば、他の作品も読んでみたくなるのではないでしょうか。
わたしは作家ですが、一方で読者でもあり、小説という表現形式の大ファンでもあります。
編集部や評論家の編むアンソロジーもおもしろいですが、ミステリとか幻想小説とかのジャンルにこだわらず、いろんな作家が同じテーマで競作する書き下ろしアンソロジーというものを自分でも読んでみたいと思うのです。
「アミの会(仮)」の名前の由来です。
以前「雨の会」という若手作家の集団があり、雨の会編のアンソロジーが出版されました。もし、知らない方がいらっしゃいましたら、インターネットで検索してみてください。びっくりするような豪華なメンバーです。
その「雨の会」へのリスペクトも込めて、とりあえず仮の名を「アミの会(仮)」ということにしたら、なぜかそれがいちばんしっくりきてしまったということなのです。
網のように広がる交友関係だとか、フランス語でamiは友達(女性形はamieですが)という意味や「親しげである」という形容詞だったりもします。
女性作家らしい花の名前の会も素敵ですが、このちょっととっちらかった感じや、「なにそれ?」みたいな引っかかりもおもしろいのではないでしょうか。
さて、いまだ全貌が見えないアミの会(仮)ですが、この先も活動していく予定ですので、ぜひともまたお目にかかれるとうれしく思います。
(「あとがき」より)
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