本当は弱いからこそ、強くなれる
――そんなふうにいつも前向きで、強い気持ちを持てるのはなぜなんですか。
川崎 何を持ってる人が強いのかっていうと、自分の弱さを知っている人だよね。強い人は、強いからじゃない。弱いから強い。本当に強い人は、自分の弱さ、他人の弱さを知ってる人。人間は弱いんだってことを知ってる人は優しいよ。だから、ポジティブになれる人は、ネガティブな自分を知っていて、受け容れてる人なんだと思う。
――なかなかそんなふうには考えられないと思いますが、そんなふうに思えたきっかけが何かあったのでしょうか。
川崎 何だろうね。おれも強くないし、弱いよ。すっごくネガティブ。だからポジティブになりたいっていう憧れがあったのかもしれない。男だから、強くなりたい。そう思ったとき、いろんな人に強さとは何かを教えてもらった。父ちゃんもそうだし、イチローさんもそう。イチローさんは、自分の弱さを知ってるし、だから優しい。ということは、弱いことは悪いことじゃないんだよ。問題は、弱さを持ってることを自覚しているかどうかなんだと思う。弱さを自覚していれば、いざという時にも大丈夫。逆境でも、持ち堪えられるんだ。
――この本の中にも、川崎さんが子どもの頃、強さについてどう考えていたのかがわかるエピソードが出てきますね。
川崎 おれが小学4年生のときに書いた作文があって、その題名が「こんなに強くなった」。初めて保育園に行った日、みんなの視線が怖くて、ぼくは大声で泣いた。でも、今はもう泣かないから、ぼくはこんな強くなったって……最近になってあの作文を読んだんだけど、そのとき、ああ、この頃のおれはこんなことを考えていたのかと思った。それが今のおれには、すごく新鮮で、刺激的だった。
――川崎さんがこの本の読者に伝えたいことは何ですか。
川崎 伝えたいこと? 何もないよ(笑)。本を出したおれが言うのもナンだけど、人に読んでもらおうなんて思ってない。だって、伝えたいことがあって本を出したんじゃないんだもん。60歳、70歳、80歳になったおれが、ああ、32歳のおれはこんなことを考えていたんだと、そういうふうに思うときがくるのかなと思って、出したんだからさ。だから、もし読みたいと思う人がいたら、読めばいい。おれは別にオススメはしないからね(笑)。
逆境を笑え
発売日:2014年12月26日
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『赤毛のアン論』松本侑子・著
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