「野球の厳しさを教えないと」2009年のWBC日韓戦でイチローが“普通はやらない”プレーを行った理由 から続く
2001年、新庄剛志とともに日本人野手として初めてMLBデビューしたイチローは、1年目から新人最多記録となる242安打を達成するなど、世界最高峰の舞台でトップクラスの活躍を見せた。そんなイチローには、日本野球界、そして日本人プロ野球選手に対して抱く疑問があったという。
ここでは、野球記者として活躍する小西慶三氏の著書『イチロー実録 2001-2019』(文藝春秋)の一部を抜粋。イチローの考えを紹介する。(全2回の2回目/前編を読む)
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チーム81試合消化時点で117安打、開幕から9試合目で戦列復帰
セントルイスでのオールスターには、9年連続で出場が決まった。ニューヨーク、ロサンゼルスなど大票田の本拠地を持たないにもかかわらず、8度目の先発出場(ファン選出)は同球宴選出メンバーでは最多だ。推薦も含めた9度目の出場は、90年代から常連となっていたデレク・ジーター、マリアノ・リベラ(ともにヤンキース)の10度に次ぐ。選ばれる前からオールスター戦のテレビコマーシャルに他のスターらと共演する状況が、メジャー8年半の蓄積を表していた。
「(自分のシーズンを)スタートしたときに一番遠い場所にいたわけだから、それを考えれば(投票してくれたファンには)『ありがとうございます』ですね。最初(4月半ばにチーム合流したころ)は考えられなかった」
チーム81試合消化時点で117安打。開幕から9試合目で戦列復帰したイチローが、この時点でヒット数両リーグトップを独走していた。「最低でも100本と考えていたので、まあまあ(のペース)。プラス17(本)ですから、ペースとしては悪いわけはないわね」。この時点での1試合平均安打数1.6は、年間最多安打記録を更新した2004年の1.63に次ぐものだった。