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<異色対談>佐藤優 vs. 中村うさぎ『私のマルクス』――カネと愛とキリスト教

<異色対談>佐藤優 vs. 中村うさぎ『私のマルクス』――カネと愛とキリスト教

「本の話」編集部

『私のマルクス』 (佐藤優 著)

出典 : #本の話
ジャンル : #随筆・エッセイ

破綻しても人は愛さずにはいられない

中村 そういえばさ、犯罪者や死刑囚と獄中結婚する女っているじゃない。宅間守とかと。宗教的なポリシーを持っているかどうかは別として、そういうメンタリティの特に強い女の人というのが一部にはいると思うの。

佐藤 ご自分もその一人?

中村 と思う。だから、ホストとかに貢ぐのもそうなの。

佐藤 猫のエサやりみたいなもの? 全面的に面倒をみるというんじゃなくて、とりあえず飢えている猫を救うような。

中村 そうよ、それ。私がウリセンに無印良品のベッド買ってやってんのも猫のエサやりなのよね。ホストに色恋かけられて、女がカネどんどん出しちゃうのも同じ。でも、そこにある女の愛情表現の本質みたいなものを、なぜみんな考えないのかな。自分がもう破綻するんだよ。

佐藤 それはね、学生運動も最終的には破綻するわけ。しかし、そこに惹きつけられていくことと、政治に官僚が深く関与してしまうことも似ている。今だったら守屋さんね。あの人も必ず破綻する。しかし、それは権力欲とかと違って、何か変形の人間の愛情だと思うんだな。人間を愛さずにはいられないという。だけど、それは破綻とパッケージなのです。

中村 そうなの。愛さずにはいられないところが絶対にある。

佐藤 そういえば、ホストの春樹くんはどうしています?

中村 私が二千万つぎこんで破綻した(笑)。いや、相変わらずですよ。一年に一回、誕生日の前になると何事もなかったように「元気~」とかいうメールがくるわけですよ。元気ってオマエ、って感じ。あんなに純粋にカネに仕えてる人に初めて会いましたよ。本当にカネのためなら善悪なんかないの。稼いだやつが善なの。そんな哲学って持てる?

佐藤 それこそ、マルクスが『資本論』で書いていることですよ。そのとおりの哲学を書いている。

中村 ふうん、でも、人間はカネに純粋に仕えることはできないだろう、っていうのがマルクスの思想なわけでしょ。

佐藤 マルクスが見抜いた天才的な点は、カネからモノへの流れは切れないけれど、モノからカネへの流れは切れることがある。つまり商品として作っても売れなければ価値がゼロになることがあるということ。うさぎさんにカネがあれば、春樹も頼朝(春樹のライバル)も寄ってくる。でも、その二人の価値は永久不変ではない。そして、共産主義がダメになったのは、ごく一部の力のある者だけが稼いで、他は皆それに寄生する構造だったからです。

中村 それは、わかる。一部のホストクラブと同じだね。小箱のホストクラブって、看板になっている一人か二人のホストの稼ぎに皆が寄生している。そして破綻するんだよね。

佐藤 そのとおりですよ。共産主義の破綻も同じ。うさぎさん、今度僕と一緒に『資本論』を読んでみませんか?

中村 面白そう。ぜひ、教えてくださいよ。

文春文庫
私のマルクス
佐藤優

定価:847円(税込)発売日:2010年11月10日

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