テレビのコメンテーターとしてお馴染みの中原英臣氏が、このたび健康と医療についての本音をまとめた本を上梓(じょうし)した。そのわかりやすい解説と幅広いジャンルを網羅した知識に定評がある中原氏だが、「テレビでは言えないことが多すぎる」と漏らす。 間違った情報を鵜呑(うの)みにして、年々不健康になっていく日本人。鎖国と言われる日本の医療制度。そこで医師という立場から、日本の健康・医療問題に警鐘を鳴らす。同じくコメンテーターとして人気の白石真澄氏にご登場いただき、これまでテレビでは言えなかった医療と健康のウラ話を語っていただいた。
中原 先生とはじめてお会いしたのは、テレビ朝日の「スーパーモーニング」という番組でしたね。番組の新年会のときに、とてもキレイに着物をお召しになっていました。そのときに、私が教授を務める山野美容芸術短期大学の講師をお願いして、現在もお付き合いさせていただいています。先生の授業だけは、いつも学生がおとなしく聞いておりまして。
白石 関西人ですから、寄席と漫才に倣(なら)って最初の三分で心を掴(つか)む努力をしています(笑)。
ところで、このたびは『テレビじゃ言えない健康話のウソ』のご出版、おめでとうございます。目次を拝見してまず感じたのは、私たちはテレビの情報にいかに流されやすいかということです。通販で「ダイエットに効く」「メタボに効果的」と宣伝していれば、健康器具やサプリメントが飛ぶように売れるし、健康番組で納豆がいい、ココアがいいと放送すれば、夕方にはスーパーから商品がなくなっている。みんなテレビの情報を鵜呑みにしすぎると思うんです。そういう私自身も、ダイエット用品に健康器具、美容グッズがところ狭しと家中に転がっていて、新しいものが増えるたびに、息子に「また騙されてる」と呆れられていますが。
中原 この本で一番言いたかったのは、健康法なんていうものは、ないということなんです。みなさんが健康法と言っているのは、流行とかブームでしかありません。健康器具を買ったとしても、半年でやめたらそれまでの話。健康によい運動も食事も、一生続けるからこそ、効果があるわけです。
白石 買っただけで満足しちゃ、ダメですね。テレビの健康話だけではなくて、医療に関しても情報が偏っていると感じます。最近、七十四歳になる母に静脈瘤ができて、近くの大学病院に半年間通ったのですが、一向によくならない。ところが、血液を抜く治療で評判の女医さんの噂を聞いて治療してもらったところ、一カ月ほどですっかりよくなったんです。今回はたまたま名医の情報を得ることができましたが、ふつうは「日本の名医」などのランキング本や、「十人のゴッドハンド」といったテレビ番組ぐらいしか、情報源はありませんよね。本当に腕のいい医者を探すには、どうすればいいんでしょう。
中原 医者が通っている医者、それしかないでしょう。医者は名医を知っていますから。私も普段遊ぶ時の同級生と病気になったときに診てもらう同級生は区別していますから。