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テレビじゃ言えない医療、健康のタブーとウソ<br />中原英臣×白石真澄

テレビじゃ言えない医療、健康のタブーとウソ
中原英臣×白石真澄

「本の話」編集部

『テレビじゃ言えない健康話のウソ』 (中原英臣 著)

出典 : #本の話
ジャンル : #趣味・実用

白石 医療の現場にいる医者は正しい情報を持っているけれど、それを私たちに伝えることは、マーケットを縮小させることになる、と。情報の非対称性ですね。

中原英臣さん

中原 たとえば、クスリの処方。以前は医者は二週間分までしかクスリを処方できませんでしたが、現在は一カ月分でも二カ月分でも処方することができるんです。にもかかわらず、いまだに二週間分しか出さない医者は少なくありません。患者さんにたくさん病院に足を運んでもらえば、その分、再診料、処方箋料、検査料が入るからです。

白石 二週間おきに通院していた人が、一カ月に一度の通院になると、年間どのくらいトクをするものなんでしょうか。

中原 たとえば高血圧症の人が三割負担の場合、現在の医療費の負担が六千八百七十円から四千七百八十五円に減りますから、年間にすると二万五千二十円も医療費の負担を減らすことができます。なおかつ、新薬の三割から七割安いジェネリック医薬品にすれば、クスリ代も大幅に減ります。その分、患者さんは医療費を節約できますし、国民総医療費を減らすことにつながります。

 もっとも、国民が健康になって医者にかからなくなることが、医療費を減らすうえでは一番効果的なんですけどね。

白石真澄さん

白石 早期に病気を発見して医療費を削減するという意味では、健康診断や人間ドックも効果的なんでしょうか。ここだけの話ですが、健康診断ってここ十年間受けていないんですよ。あまり意味がない気がしまして……。十年前の記憶ですが、内科検診で「どこか気になることはないですか」と聞かれて「最近ちょっと疲れやすいです」と言うと、「適度な運動をしてください。正しい食生活も大事ですよ」と。そんなこと、言われなくても分かってますよ。健康診断というのは、こういう一つの儀式を終えて、安心した、今年もやったんだ、という満足感を得るためだけに行なわれている気がします。

中原 健康診断は、医学的根拠のない検査項目がほとんどなんです。厚生労働省も、血圧、身長・体重、飲酒、禁煙、うつ病、糖負荷試験の六つの項目以外は根拠がないと認めています。しかも、異常なしの「健康な人」と診断されるのはわずか一一%。百人の方が健康診断を受けたら、八十九人の方が「異常」とされているわけですから、検査自体が異常といわざるを得ません。健康診断は、いわば患者さんを獲得するための「釣り堀」なんです。

白石 異常が見つかったとしても、やみくもに心配しなくてもいいということですね。

中原 その通りです。総コレステロールなんかメタボ検診の検査項目から消えたんですよ。

【次ページ】おかしな日本の医療制度

テレビじゃ言えない健康話のウソ
中原英臣・著

定価:本体533円+税 発売日:2010年04月09日

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