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「丸かじり」が愛される理由(わけ)

「丸かじり」が愛される理由(わけ)

「本の話」編集部

『おにぎりの丸かじり』 (東海林さだお 著)

出典 : #本の話
ジャンル : #随筆・エッセイ

──「カレージルが足りないッ」とか「ひきこもりラーメン」なども書いていましたが(『うなぎの丸かじり』所収)、読者の反応はあったんですか。

東海林  まったくない(笑)。本当に毎回、反応は全然ないです。だから自分で判断するしかない。

 あと皆が普段食べないものは取り上げないことにしています。キャビアやフォアグラじゃあ、共感のしようがないでしょ。

──飲み屋やレストランで、ネタを探したり思いつくことはあるんですか。

東海林  普段はそれはないです。普段は店では純粋に食べたり飲んだりするだけ。ネタは常に机に向かって、さあ次はどうしようと考える。

──特に思い出に残っている回はありますか。

東海林  「白湯(さゆ)の力」かな(『タケノコの丸かじり』)。だれも普通は「白湯」について、原稿用紙に六枚も書こうと思わないでしょう。それをあえてやってみようと思った。なんの味もしないただのお湯を、ありとあらゆる角度から観察し味わって……書き上げたときは「どーだ!」って達成感があったね。これで、これから先どんなテーマでも書ける、という自信がついた。

──「白湯の力」については、角田光代さんも解説で絶賛されていましたね(『ホットドッグの丸かじり』)。   文春文庫版には毎回「解説」のおまけがつきますが、顔ぶれがものすごく豪華。ソムリエの田崎真也さん、女優の岡江久美子さん、モデルの川原亜矢子さんと職種も幅広い。また今回の三冊では吉田戦車さん、しりあがり寿さん、けらえいこさんが解説と一コマ漫画を寄せて下さっています。東海林さんのファン層の厚さがうかがえます。

東海林  文庫の解説って書くのは苦手で、自分はいつも断っちゃうんだけど(笑)。これだけの人に書いていただいた、というのは有難いですね。

──お話をうかがっていると、この連載が長く愛されてきた秘密がわかるような気がします。でも東海林さんがもたれている連載って、どれも長いですよね。

東海林  一回始めたら、自分からはやめたくないの。担当者に「もうそろそろ……」みたいに言われるのは恥辱だからね。そう言われないように、というのをエネルギーに頑張っている。『週刊朝日』からは今のところ何も言ってこないけれど、気配がないのが逆に怖い(笑)。

──連載がまだまだ続く、ということは、文春文庫の「丸かじり」シリーズもまだまだ続く、ということですね。次は〈三百万部突破〉を期待しています!

パイナップルの丸かじり
東海林 さだお・著

定価:540円(税込) 発売日:2010年10月08日

詳しい内容はこちら

コロッケの丸かじり
東海林 さだお・著

定価:540円(税込) 発売日:2010年11月10日

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