――待望の新刊『日本人の誇り』がいよいよ刊行されます。骨太な書き下ろしとしては、大ベストセラーとなった『国家の品格』以来ですか。
藤原 そうですね。『国家の品格』を書いたのが2005年でしたから、6年ぶりです。『日本人の誇り』は構想から執筆まで2年近い時間がかかりました。
――この『日本人の誇り』で藤原さんは、「戦後日本はなぜ自信を失ってしまったのか」「現代を生きる日本人はなぜ日本への誇りを持てないのか」という問いかけをしています。
藤原 その原因は何かという疑問は、ずっと考えていました。辿りついた結論は、「祖国の歴史を知らずに、祖国への自信も誇りも育めない」ということでした。
私は一昨年までお茶の水女子大で教えていましたが、その最後の約10年間、専門の数学以外に、新入生を対象に「読書ゼミ」を開講していました。ここで彼女たちと話をしていて、考えさせられたことがありました。それは、「日本とはどんな国か」という質問に、「恥ずかしい国」「胸をはれない国」と答える学生の多さでした。曰く、「江戸時代は身分社会が徹底していて、自由や平等という概念がなかった」。曰く、「明治から昭和にかけての日本が戦った戦争は帝国主義の下、か弱きアジアを侵略した戦争だった」。
これには困ったと同時に、彼女たちに同情したくなりました。彼女たちは、高校を卒業するまで、学校や家庭で、そう教え込まれてきたのであって、彼女たちだけの責任では必ずしもありません。実際、読書ゼミでの1年を終えるころになると、皆が新たな考え方ができるようになってきた。つまり、ほんとうの歴史に触れる機会がなかっただけなのです。
そう考えた時、この問題の原点には、「戦前との歴史の断絶」という難問があると再認識したのです。
日本人の誇り
発売日:2012年01月20日
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『赤毛のアン論』松本侑子・著
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