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女子御三家・傾向と対策(著者による解析、入試問題と一部解答つき)

女子御三家・傾向と対策(著者による解析、入試問題と一部解答つき)

問題分析:矢野耕平(『女子御三家』著者) 分析協力:石井陽一、及川慎也

出典 : #文春新書
ジャンル : #ノンフィクション

桜蔭中学校

2015年度入試問題分析

 女子最難関校の入試問題は、算数・国語で最高水準の問題がずらりと並ぶ。論理的思考力とともに、大胆な「力技」も求められる。理科・社会は高度な知識が若干試されるものの、桜蔭受験生にとっては「当然のように」高得点を積まねばならない。難解な問題に出会った際に思わずワクワクするような性格でなければ乗り切ることはできないハードな入試問題である。難関校では珍しく、桜蔭は自校作成の模範解答を公表しているので、それを見ると桜蔭が求める「計算式」「記述」などが見えてくる。


2015年度入試問題

算数(制限時間:50分/配点:100点)[PDF:266KB]
理科(制限時間:30分/配点:60点)[PDF:543KB]
社会(制限時間:30分/配点:60点)[PDF:546KB]


科目別問題の傾向と一部解答例

◆算数(制限時間:50分/配点:100点)

 小問集合は計算問題2問、数の性質2問。大問2は正三角形をうずまき状にならべ、その図形の周囲の長さを求め、調べながら規則を見つけなければならない。その場での判断能力の高さが求められる。大問4の円柱の問題は計算量が多くなり、正確な作業が求められる。桜蔭の合格点に達するためには複雑な解答作業、面倒くさい数値を扱った複雑な計算など、厄介な作業をそつなくこなすたくましい姿勢を身に纏っていなければならない。

○合否を分けた問題

【大問3(2)】

※クリックすると拡大します

・解説

「10個をこえると、こえた分が5%引き」という条件を気にせず取り組もう。ケーキ○個、プリン△個とすると300×○+120×△=9000です。60でわると5×○+2×△=150となり、(○,△)=(0,75)が算出される。プリン5個とケーキ2個が同じ金額であることから調べることが必要。(○,△)=(10,50)以降はケーキが285円なので、プリン19個とケーキ8個が同じ金額。さらに細かく調べていかなければならない。

 内容を理解した上で立式し、煩雑な作業も臆することなく粘り強く解き進めていく骨太な学力が求められる。このような難問に対して『やってやろうじゃないか』というチャレンジ精神で取り組んでいくような負けず嫌いな性格は桜蔭向きといえる。

・解答

チーズケーキ(個) 2 4 6 8 10 18 26
プリン(個) 70 65 60 55 50 31 12


◆理科(制限時間:30分/配点:60点)

 昨年度は4題だった大問数は5題になった。大問2は実験結果や説明文を丁寧に整理して設問に答えていく必要がある。また、記述問題(60字以内)も見られ、例年以上に差がついたと考えられる。本校の理科は、実験結果を基に思考していく問題が多く出題される。また、大問5の化学分野の中和計算ではデータ処理能力の高さが求められる。桜蔭受験生は、与えられた条件や結果を論理的に考える習慣を身に付け、本質を見抜く力をつける学習をおこない、時事的な話題に平生から目を向けることを意識しなければならない。

○合否を分けた問題

【大問2 問4】

※クリックすると拡大します

・解説

 コナガの幼虫の生存率を高める条件を読み取る問題。コナガの天敵であるコマユバチは、キャベツがコナガの幼虫に食べられたときに出すにおい物質で集まる。問題文より(C)に最もコマユバチが集まるので、イは生存率が高まることが分かる。また、コナガの幼虫の数によらず集まるコマユバチの数は同じなので、1匹だけコナガの幼虫がついているキャベツよりたくさんコナガの幼虫がついているものの方が寄生される確率は下がる。

 与えられた情報を整理し分析をした上で結果を推測するという理科の本質が要求されている問題。桜蔭の理科は、知識を固めただけでは太刀打ちできない。日頃から、よく考えて物事を推測する学習が求められる。

・解答

イ→ウ→ア


◆社会(制限時間:30分/配点:60点)

 昨年度と同様に解答の判断に困るであろう記号選択問題が目立つが、それでも合格者平均点は約7割と考えられる。問題のほとんどは地理・歴史分野で、公民分野は2割程度。とりわけ地理分野では骨のある問題が多いように感じられる。記述問題については、2段階の思考が求められており、レベルが高い。JG・雙葉と比較すると、一番解きやすそうに見えるが、3分野の基礎学力を確実に定着させていなければ勝負にならない。その上で、周囲のさまざまなところに転がっている「社会常識」や細かい知識を幅広く積極的に身につけようとする貪欲な学習姿勢が求められる。

○合否を分けた問題

【大問1・問5】

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・解説

 無形文化遺産「和食」から派生した時事問題。日常生活に存在する事象を、生活者の視点で捉えたい。桜蔭は、外食・小売店などに食生活を委ねる家庭の増加、あるいはしょう油ベースの調味料の多様化に思い至るような受験生を求めている。

・解答

 外食する家庭が増加したから。
 スーパーマーケットなどの小売店でお惣菜を買う家庭が増加したから。
 

◆国語(制限時間:50分/配点:100点) ※問題は割愛しました

 大問1は、30人近くの著者が学びについて語った『じぶんの学びの見つけ方』に所収されている一篇。問1~問4はすべて記述問題。学校側の模範解答をみると、幾つかの文に分け、丁寧にそれらをつないでいく作業が求められる。大問2は木内昇『櫛挽道守』より。数々の文学賞を受賞した名作品。古い時代設定の物語文で読みづらさを感じた受験生が多かっただろう。「200字記述」をはじめ、こちらも手強い記述問題が並んでいる。桜蔭が公表した模範解答を見ると、50分で相当な分量の記述が求められていることが分かる。なお、模範解答による総記述字数(漢字や抜き出し、記号を除く)は実に1,163字(!)。

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