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女子御三家・傾向と対策(著者による解析、入試問題と一部解答つき)

女子御三家・傾向と対策(著者による解析、入試問題と一部解答つき)

問題分析:矢野耕平(『女子御三家』著者) 分析協力:石井陽一、及川慎也

出典 : #文春新書
ジャンル : #ノンフィクション

雙葉中学校

2015年度入試問題分析

 雙葉の入試問題の難易度はその年によってかなりバラツキがある。2015年度は合格最低点(203点/300点満点)を考えると、全体的に問題は易化傾向にある。裏返して言えば、基本知識が少しでも欠如していれば、他の受験生に大きく差をつけられてしまう。もちろん次年度以降の入試レベルは未知数であるため、雙葉の過去の入試問題を最低でも5~6年分はこなしておき、問題の難化に備える必要がある。


2015年度入試問題

算数(制限時間:50分/配点:100点)[PDF:149KB]
理科(制限時間:30分/配点:50点)[PDF:363KB]
社会(制限時間:30分/配点:50点)[PDF:538KB]


科目別問題の傾向と一部解答例

◆算数(制限時間:50分/配点:100点)

 2015年度入試は6年前以来の大問5題構成。試験時間が50分に変更されてからこの構成ははじめてである。雙葉の算数といえば、問題のテーマ自体はオーソドックスであるものの計算処理が大変煩雑な印象がある。しかし、今年の問題はそのような雰囲気が鳴りを潜め、全体的に取り組みやすい問題構成だったといえるだろう。ただし、油断は禁物。雙葉を目指すには、難化したときを考え、煩雑な処理を手早く正確におこなう力を磨いておかねばならない。

○合否を分けた問題

【大問5(2)】

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・解説

(1)の問題を解くと分かるが、もとの水の深さは8cm。容器の面(あ)を下向きにしてしずめると水の深さが9cmになるので、容器の半分が水中にある。中にも水が入るので、厚みの分だけ水面が上がる。よって、27×27×(9-8)=729㎠が水中にしずんでいる容器の厚みとなる。容器は半分しずんでいるので、容器全体の厚みは729×2=1458㎠。容積は18×18×20-1458=5022㎠。雙葉の算数では、複雑な計算処理を正確におこなうことが求められる。単に計算のスピードを追い求めるだけではなく、比の利用や結合・分配法則の活用など、手早く簡単に計算する術を身につけねばならない。

・解答

5022㎠


◆理科(制限時間:30分/配点:50点)

 2015年度の雙葉理科は構成に大きな変更があり、大問は3題(昨年度は4題)であった。また、記述問題が減るとともに、計算問題も答えのみを書く形式(例年は計算の過程も書かせる)となった。しかし、例年雙葉の理科は思考力を問われる問題が多く出題される。具体的には実験から考察できること、記述や作図、計算問題など。日頃から様々なことに疑問を持ち、それを説明できるように考えたり、調べたりする習慣を付けたいもの。

○合否を分けた問題

【大問2 問4(1)】

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・解説

 農家がミツバチを飼育する理由は大きく分けて2つ考えられる。1つは、はちみつをはじめとするミツバチが集めてくるものを食品として加工するため。もう1つは、ビニールハウス栽培などでミツバチを放し、花粉を運ばせて受粉の手伝いをさせるためである。後者は、イチゴなどの果実を栽培する際に利用されている農法で、かつてミツバチが不足していた時期にイチゴの栽培が進められず、実際にニュースになったことがある。このように、身近な事柄に疑問を持ち、調べ、理解を深めることが大事。社会で学習する事柄やニュースで耳にする事柄も学習の材料である。アンテナを張り、科目や分野にとらわれず学習を深めていく姿勢が必要。

・解答

イチゴなどの果実


◆社会(制限時間:30分/配点:50点)

 2015年度の雙葉社会は、例年同様大問3題の構成。記号選択問題が中心であり、論述問題は1問のみ。大問1は東京を題材にした地理の総合問題。大問2は国際社会を中心にした公民の総合問題。大問3は原始時代から現代までの外交史の問題が出題された。雙葉の社会は幅広い知識と思考力が問われるため、平生の真摯な学習姿勢が問われている。

○合否を分けた問題

【大問1 問5(3)】

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・解説

 なんだかJGで狙われそうな問題である。原子力発電所に関するもの。雙葉では前年の時事問題がそのまま出題されることはほとんどなく、数年前のできごとをもとにして出題されることが多いのが特徴的。たとえ学習していなくとも、核により過去甚大な被害を受けた県や人口密集地域の近くには原子力発電所は普通作らないだろうという常識的な判断を下してほしい。

・解答

ロ・リ・ヌ


【大問1 問7】

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・解説

 雙葉の社会では、伝統的な事物や言葉に目を向けさせる問題が多く出題される。高冷地農業(抑制栽培)の利点を説明する問題だが、「旬」を使って説明しなさいというのが雙葉らしいところである。

・解答

 他の産地では春や秋に旬となる野菜を、冷涼な高原の気候を利用して夏に安定的な価格で出荷できるから。
 

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