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第1回 「亀岡拓次」誕生の地“茅野”からディープな浅草界隈まで

第1回 「亀岡拓次」誕生の地“茅野”からディープな浅草界隈まで

『俳優・亀岡拓次』『のろい男』 (戌井昭人 著)


ジャンル : #小説

和歌山・新宮――バイクで野宿旅行

 第2話「名優・鎌田登 和歌山」ですが、学生の夏に90㏄のバイクで、テントを張って野宿をしながら、ひとりで紀伊半島を回りました。そのころ中上健次を読んでいて、新宮に行きたかったんですね。

 熊野の山の中で、テントを張って寝ていたら、周囲があまりにも真っ暗になって、怖かったです。なんでおれ、一人でこんなところで寝てるんだろうと(笑)。神はいるな、と思いましたね。そんな場所でした。

左:熊野古道/右:那智大滝

 めはり寿司が美味しかったな。菜っぱでつつんだ寿司です。

 紀伊半島の一番南、紀伊大島でテント張って寝ていたら、大雨が降り出して、身体が水浸しになって目が覚めました。寝られないし、テントは飛んでっちゃうしで、翌日は新宮のビジネスホテルに泊まって、ぐっすり眠りました。ホテルなんかに泊まっちゃって、おれ、日和ってんなと思ったな(笑)。東京から90ccのバイクで行ったんですが、高速道路も乗れないし、帰りは疲れちゃって、太地からフェリーに乗って帰って来たという思い出ですね。

 海岸沿いを走っていたら、ちょうどお祭りをやっていて、ふらりと覗いてみたら、地元のおばあちゃんが屋台を出していて、そこで食べたわらび餅がとんでもなくうまかった。名物というわけでもないんでしょうけど、手作りで、ものすごく美味しかったな。

【次ページ】東京・上野――浅草時代の日常

文春文庫
俳優・亀岡拓次
戌井昭人

定価:748円(税込)発売日:2015年11月10日

単行本
のろい男
俳優・亀岡拓次
戌井昭人

定価:1,485円(税込)発売日:2015年11月14日

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  • 『皇后は闘うことにした』林真理子・著

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