もし『藍千堂』に取材を申し込んだら、広報担当として出てくるのは幸次郎だろう。如才ない段取りで対応してくれそうだけど、『百瀬屋』を警戒して無難なことしか話してくれなそうだから、ここの菓子の本質を知るなら、ポロッと口を滑らせてくれそうなうっかりタイプの晴太郎をつかまえなくちゃ。一応、店主みたいだし。
茂市っつあんには、兄弟が幼かった頃のエピソードを話してもらおう。何においても晴太郎と幸次郎の顔をたてる人だから、困らせるような質問は避けたいところ。
『伊勢屋』の総左衛門に、なぜ薬種問屋が和菓子の材料を扱うことになったのか、歴史を紐解いてもらうのもいいかもしれない。でも、隙がなさすぎて緊張しそう。
常連客の声を拾うなら、八つ時の金鍔(きんつば)を狙ってやって来る岡丈五郎かな。それとも久利庵先生の診療所を訪ねて、「茂市の煉羊羹ひと棹食いの作法」というテーマでこってり語ってもらおうか。横大工町なら、『藍千堂』から徒歩15分ほどで行けそうだ――。
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