髙見澤 映像的に覚えていることを、そのまま書きましたね。学生時代、ちょっとだけ原宿に住んでいたこともありましたから、それなりに覚えていて。山本寛斎さんのお店があったの分かります?
林 分かります。いつもあそこで寛斎さんの服、買ってましたもん。「バスタパスタ」ってお店があったところ。
髙見澤 そうです。あのあたりに住んでいたんです。窓を開けると道路を挟んで向かいに寛斎さんのお店が見えた。
林 私はそのちょっと先の外苑前に、友達と小さな事務所を借りてました。
髙見澤 そうでしたかぁ。僕もあの辺りはテリトリーで「プレイメイト」っていう喫茶店覚えてます?
林 覚えていますよ。
髙見澤 あの店は当然ですがクーラーが効いていたから、夏は入り浸りで……しかし、意外に近い所にいたんですね。
音楽を書くということ
林 『音叉』には、スピンオフの「憂鬱な週末」という作品が載っています。
髙見澤 「オール」で読んでくださった方にも、単行本で新たに楽しんでもらえる部分があったらという提案がありまして。これも初めての短編です。
林 いきなりスピンオフ書けるなんて、すごいなと思って。
髙見澤 雅彦たちのデビューを手がけることになる「瀬川」というディレクターの話なんです。そういえばこの前、THE ALFEEのデビュー当時のディレクターに偶然再会したら、「瀬川です」って挨拶された(笑)。さらに雅彦と僕を重ねて「君はあの頃、あんなに悩んでいたのか。知らなかったなぁ」と。
林 自分が瀬川のモデルだと思い込んでいらした(笑)。
髙見澤 「小説の話ですから違いますよ」って言いましたけど。そもそも小説はロックバンドの話で、僕らはフォークでデビューしていますからね。
林 そうだったんですか。
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