- 2018.11.29
- 書評
ツチヤ先生とタワシ
文:荒井泰子 (大人と子供のための読みきかせの会ピアニスト)
『そしてだれも信じなくなった』(土屋賢二 著)
出典 : #文春文庫
ジャンル :
#エンタメ・ミステリ
先生の文章に出会ったのは、都内の小学校に読みきかせの公演に向かう途中でした。
メンバーの一人が先生のエッセイが載っている雑誌を持ってきて読むように薦めてくれたのです。衝撃的でした。本質をついていながら押し付けがましくない軽くて薄い内容と、既成の概念に囚われない柔軟で非常識な発想に心躍らされ、思わず感嘆の声をあげていました。
「何これ」
「誰これ」
他のメンバーたちも爆発的な苦笑で大笑い。我々を乗せたワゴン車は、爆苦笑の渦に支配され、走行しながら上下左右に揺れたようでした。笑いと音楽さえあればあとはビールと命だけあれば生きていけると信じている大の笑い好きの私でも、文章を読んで大笑いするのは初めてのことで新鮮でした。それに、先生のページにうっすらついている鍋底の跡がこの文章と書き手の本質を暗示しているようで、新しい世界の入り口に立った私はウキウキしていました。それがどんなことかも知らずに。
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