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六代 豊竹呂太夫×大島真寿美〈文楽〉というワンダーランド#前編

六代 豊竹呂太夫×大島真寿美〈文楽〉というワンダーランド#前編

「オール讀物」編集部

『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』刊行記念

出典 : #オール讀物
ジャンル : #歴史・時代小説

『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』(大島真寿美 著)

文楽との奇跡の出い

呂太夫 そもそもなぜ半二を主人公に小説を書こうと思われたんですか? 大島さんの小説のファンにとっても、江戸時代の人形浄瑠璃をモチーフにするのは画期的というか、すごく意外なことでしたよね。

大島 それは、何といっても『妹背山婦女庭訓』の作者だからです。

呂太夫 文楽でご覧になったことがきっかけですか?

大島 もともとは歌舞伎です。昔から歌舞伎が好きで色々と観ていて、それを知っている担当編集さんから「そんなに好きなら、歌舞伎の小説を書きましょうよ」とずっと言われていました。でも、いくら好きだって小説にするのはとても無理ですよ。それなのに、ふと『妹背山婦女庭訓』だったら書ける気がして……そこから妹背山のことを調べはじめました。もちろんすぐにはじまりは浄瑠璃=文楽だということに気がついて、そこから猛勉強がスタートしました。

呂太夫 それを聞くと、あんまり文楽も知らんのに、ようここまで突っ込んでいけたと改めて驚きますわ(笑)。

大島 最初にレクチャーいただいた櫻井弘先生(現・日本芸術文化振興会理事)も呆れていたと思います。ただ、学んでいくうちに本当に書けるような気持がして、この道を進めば大丈夫だという確信が濃くなってきました。ちょうどその頃、文楽で『妹背山婦女庭訓』の「杉酒屋の段」から「金殿の段」までを観ることができたのも大きかったですね。人形のお三輪ちゃんに魂をもっていかれて……。

呂太夫 やはりそこに何か感動があったんじゃないですか。

大島 それはもちろん! とにかくお三輪ちゃんのことが書きたくなりました。その後も、歌舞伎で四十五年ぶりに「井戸替の段」を上演したり、さらに翌年は、大阪の国立文楽劇場で久しぶりに通し上演があったり、短期間にどんどん妹背山を観ることができたのは、本当に半二の導きだった気がします。

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単行本
妹背山婦女庭訓 魂結び
大島真寿美

定価:2,035円(税込)発売日:2019年03月11日

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