無類の時代小説好き書店員が集まる選考会は、毎年、年代も地域も好む時代背景も異なる書店員たちの白熱した討議が面白い。選考会の様子は、毎年オール讀物「本屋が選ぶ時代小説大賞」発表号に掲載されているので、さかのぼってお読みいただけたら幸いである。
さてと、ここからは『会津執権の栄誉』について、選考会でも語り切れなかった思いの丈をすべて書かせていただきたい。
物語の舞台となるのは、四百年の長きにわたり東北の要衝の地である会津を治めてきた名門芦名家。戦国の世に入り第十八代の盛隆が家臣の手にかかり殺され、家督を継いだ息子の亀王丸も三歳で病死し嫡流が絶えることとなってしまう。芦名家は、家臣筆頭であり会津執権の呼び名も高い金上盛備の一声で常陸の佐竹義重の次男・義広を養子にすることに決まったが、伊達政宗の弟・小次郎を推挙した一派との確執が生じ、家内が一枚岩となっていない状況が続いていた。それに加え、義広を補佐するために佐竹家からやって来た大縄讃岐や刎石駿河などの新参家臣と、芦名家譜代の家臣との対立も深刻化していた。様々な思惑と疑心が交錯する猪苗代湖畔から物語は始まる。
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