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「怒りの刃は常に内向きです」──壇蜜初の小説集刊行記念インタビュー

「怒りの刃は常に内向きです」──壇蜜初の小説集刊行記念インタビュー

聞き手・構成:鵜飼 哲夫

文學界12月号 特集 ことばは今どこにあるか?

出典 : #文學界
ジャンル : #小説

『はんぶんのユウジと』(壇 蜜 著)

――次の「タクミハラハラ」は、一話目で亡くなったユウジの弟、タクミの物語ですが、これは、タクミが頼りないと思っていたアルバイト先の眼鏡屋の同僚に助けられ、「僕のほうがさえない奴だった」と気づく話です。第三話の「パット エミデテ テレルフターリ」に登場するイチカは、友人のタクミ君をふったリカのことを、キャピキャピした女と小ばかにしていたのですが、あることをきっかけに、意外や意外、リカがしっかり者と知らされます。

 壇蜜 外見だけ見て、周りに「そういう子」と決めつけられているリカの、侮るなかれ、「能ある鷹」というほどではなくても、「山椒は小粒でも」的なところが出せたらいいと思いました。自分は人がいっぱいいると、人を差別せずにはいられない生き物なので、無意識にしている差別にしっぺ返しされることを書きたかったのかな、と思います。

――本田技研工業(ホンダ)の創業者、本田宗一郎には「能ある鷹は爪を磨け」という名文句があります。

 壇蜜 どっちかというとB’zの稲葉(浩志)さんの言葉が好きです。「黙って研ぎつづける才能 ナイフのように」という歌詞〔「DEEP KISS」という曲〕です。文句を言わずに大事に育てる孤独や才能というのはすごく美しいです。

――第四話の「にびいろ八分咲き」は、第一話で未亡人となったイオリが、夫の弟のタクミと再会する場面で終わります。まさに第二の青春のスタートを感じました。

 壇蜜 さんざんな目に遭っている人たちでも、「ちょっとだけ楽しそうなことがあるんだな」って思ってもらえたら、救いがあると思いました。

文學界 12月号

2019年12月号 / 11月7日発売
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単行本
はんぶんのユウジと
壇蜜

定価:1,595円(税込)発売日:2019年10月25日

単行本
壇蜜ダイアリー
壇蜜

定価:1,320円(税込)発売日:2019年01月12日

文春文庫
噂は噂
壇蜜日記4
壇蜜

定価:847円(税込)発売日:2018年01月04日

文春文庫
泣くなら、ひとり
壇蜜日記3
壇蜜

定価:726円(税込)発売日:2016年10月07日

文春文庫
壇蜜日記2
壇蜜

定価:671円(税込)発売日:2015年09月02日

文春文庫
壇蜜日記
壇蜜

定価:627円(税込)発売日:2014年10月10日

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