――次の「タクミハラハラ」は、一話目で亡くなったユウジの弟、タクミの物語ですが、これは、タクミが頼りないと思っていたアルバイト先の眼鏡屋の同僚に助けられ、「僕のほうがさえない奴だった」と気づく話です。第三話の「パット エミデテ テレルフターリ」に登場するイチカは、友人のタクミ君をふったリカのことを、キャピキャピした女と小ばかにしていたのですが、あることをきっかけに、意外や意外、リカがしっかり者と知らされます。
壇蜜 外見だけ見て、周りに「そういう子」と決めつけられているリカの、侮るなかれ、「能ある鷹」というほどではなくても、「山椒は小粒でも」的なところが出せたらいいと思いました。自分は人がいっぱいいると、人を差別せずにはいられない生き物なので、無意識にしている差別にしっぺ返しされることを書きたかったのかな、と思います。
――本田技研工業(ホンダ)の創業者、本田宗一郎には「能ある鷹は爪を磨け」という名文句があります。
壇蜜 どっちかというとB’zの稲葉(浩志)さんの言葉が好きです。「黙って研ぎつづける才能 ナイフのように」という歌詞〔「DEEP KISS」という曲〕です。文句を言わずに大事に育てる孤独や才能というのはすごく美しいです。
――第四話の「にびいろ八分咲き」は、第一話で未亡人となったイオリが、夫の弟のタクミと再会する場面で終わります。まさに第二の青春のスタートを感じました。
壇蜜 さんざんな目に遭っている人たちでも、「ちょっとだけ楽しそうなことがあるんだな」って思ってもらえたら、救いがあると思いました。
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『赤毛のアン論』松本侑子・著
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