――新婚早々、未亡人になった若い女性の心を描く冒頭の短編「はんぶんのユウジと」(「文學界」二〇一七年九月号)など発表した短編二作を読んだ段階では、正直、どんな小説世界が広がっていくか、よくわかりませんでした。それが三本の書き下ろし短編も加えて一つの小説集として完成してみると、「あ、そうか。よく構成されているな」と驚きました。独特の体温の低いユーモアと毒もあり、一気に読みました。
壇蜜 ありがとうございます。小説を書くのは、ハードルが高くて難しかったですね。
――「はんぶんのユウジと」を書いた段階で、展開は考えていたのですか?
壇蜜 話が話を呼んだ感じです。話を膨らませるのはタレントのサガなので、主軸ができれば新しい話が生まれると信じていました。
――サガですか?
壇蜜 はい。作り話を、正直に、嘘はつかずに大げさに盛るのはタレントのサガです。ですから、「次の話も書いてください」ってお願いされると、前の話が膨らみました。
――「文春の王子」と言われている、わたしと身長、体重が同じ編集者が担当でしたね。
壇蜜 いつでも影武者できますね(笑)。
――いえいえ。王子とはフェイスも性格も年齢もギャップがありすぎます。ところで、この「ギャップ」というのが、小説集では大きなテーマになりましたね。「はんぶんのユウジと」では……。
壇蜜 二十七歳にして夫を亡くした「哀れな女」のはずなのに、周囲が思っているほどには悲しめない女性が主人公です。
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