――体験をもとにした私小説という方法もあるのに、なぜ作り話にしたのですか?
壇蜜 以前、メイプル超合金のカズレーザーさん……あの金髪に赤い服の方が、お笑いの漫才のコンテストのことを「立ち話の大会」って言ったんです。で、小説って何だろうと思ったら、作り話の見せっこじゃないか、と思いました。
自分の生活を切り売りするのは最終手段的なことで、それを最初にやると次に書く小説のハードルが高くなりそうだなとも思いました。それでまず嘘話を書き、だんだん小説が書けるようになったら、自分のことも書こうと思います。
――新人賞でデビューする作家を見ると、一番最初にとっておきの体験で賞を取る場合もあります。とりわけ壇蜜さんのように注目される人の場合、体験を描けばインパクトはあるし、ファンにもそれを求める人はいると思いますが。
壇蜜 どこかで賞取りというレースを放棄した自分がいて、まず書き続けることが目標です。以前に対談した作家の桜木紫乃さんがおっしゃっていたんです。「まずは五千部売る。そして売れたら次を書く」って。そういう修業の道を選んだのかもしれない。なにより、体験を描いて、「ゴーストライターを使った」と言われるのが嫌でしたし、ゴーストライターにお金をいっぱい持っていかれるのはもっと嫌。お金ないので自分で書きます。
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