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激動の時代を乗り越えろ! 「国家再建」「経済再生」「地方復興」を成し遂げた奇跡の主従の物語。

激動の時代を乗り越えろ! 「国家再建」「経済再生」「地方復興」を成し遂げた奇跡の主従の物語。

「オール讀物」編集部

『わが殿』(畠中 恵・著)


ジャンル : #歴史・時代小説

江戸時代の通貨は変動相場が常識だった

『わが殿 上』(畠中恵 著)

――ふたりの共通&最大の敵は、藩の九万両の借財です。しかも借金の利息は年に一万両。国を動かす金が尽きれば所領は幕府に返上するしかにという危機を、どのように脱出していったのでしょう?

畠中 結果的には利忠公と七郎右衛門の採った作戦は、いろいろと成功しています。しかし何といっても、最初は幕府から三万両の借金をして廃坑寸前だった面谷(おもだに)銅山に新しい鉱脈を発見したことが大きかった。まさに伸るか反るか大博打で、あれだけお金を注ぎこんで銅が出なかったら、本当に藩ごと返上するしかなくて、殿だけでは済まされずに、銅山役人として責任者の七郎右衛門だってハラキリでしたよね。

――利忠公は稼いだお金をどんどん遣ってしまうわけですが、七郎右衛門もどんどん新しことを試みます。そのひとつが大野藩の特産物を藩札で買い上げ、大坂で直営で販売する「大野屋」を開店したことです。

畠中 幕末に藩の借金を返した人は、有名な上杉鷹山をはじめ、何人かいるみたいなんですけど、返してもその人がいなくなるとまた借金が重なっていくんですよ。七郎右衛門の偉かったのは、やはり大野屋を作って、さらに全国展開したこと。これをきちんとしたシステムにすれば、七郎右衛門がいなくなっても、ある程度、大野の経済は回っていくようにしていった。それもすごいことですね。

©文藝春秋

 お金のことでいえば、現代とすごく似ているところもあって、七郎右衛門が大坂に藩直営の「大野屋」を開く時、資料にたびたび出てくるのが銭と金と銀のことなんです。当時の日本では、銭高、金高、銀高とそれぞれの貨幣が変動相場になっていて、どのお金で払うのがいちばん有利かを必死になって計算している。これはドル高や円安、ユーロ高などといった国際的な相場とそっくりで、武士の世の中であっても、お金に強くなければ競争に勝てないのは当たり前ですね。堂島の米会議所でも相場取引がはじまっていたし、『けさくしゃ』(新潮文庫)で江戸の出版事情を書きましたが、江戸の半ばで出版のためのファンドが作られていたり、あの時代の日本にも面白い経済活動がたくさんあったことに気づかされましたね。

【次ページ 組織の中で一生ついていく誰かを見つけられるか?】

単行本
わが殿 上
畠中恵

定価:1,540円(税込)発売日:2019年11月27日

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畠中恵

定価:1,540円(税込)発売日:2019年11月27日

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