アナウンサーとして50年近く、私は、話しことばで仕事をしてきました。この本で藤原智美さんが強調されるように、確かに、話しことばの根底は、考えぬかれた書きことばで支えられているのを感じています。しかしまた、私たちの日々の暮らしを成りたたせているのは話しことばであり、書きことばによる思考を深めるのにも、話しことばが大きな役割を果たしていると私は思っています。アナウンサーという立場からは、私のことばへの興味はどうしても話しことばに傾きがちで、しかも「声」を抜きには考えられない気持ちになるのです。
「声」は、わたしにとっていまだに自分の意思で制御できないものです。思ったときに思ったように声は出せないのです。こんなに長くつきあっているのに、不思議なものです、声は。声のことをもっと知りたい、そんな思いが募って2年前から「声」についてあらゆる角度から考えるための講座を始めました。毎月一人講師を招いて、その人の、声にまつわる思い・考えを、ことばに関心の深い50人あまりの仲間たちと一緒に聞くという講座です。先月の講師は、世界を股にかけて演奏旅行をしているジャズミュージシャン・S氏でした。いろいろな国の人々のことばや音楽との出会いの話のあいまに、彼はみんなに問いかけました。
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