いまの自分のノリを邪魔されたくない、という人は、この本のことは忘れてください。それは、ひとつの楽園にいるということです。そこから無理に出る必要はありません。
勉強は、誰彼かまわず勧めればいいというものじゃありません〉(14頁)
19世紀初頭のロシアで活躍したアレクサンドル・グリボエドフ(1795~1829年)という作家がいる。本職は外交官だった。1824年に『知恵の悲しみ』という戯曲を発表した。3年間の外遊からもどった主人公(チャツキー)にはロシア上流階級の姿が尊大さと阿り、無知蒙昧のグロテスクな世界に見えた。それを率直に指摘した主人公は「狂人」と見なされてしまうというあらすじだ。主人公はノリが悪くなってしまったのだ。ちなみにグリボエドフはペルシャのロシア大使館に勤務していたときに、シャー(皇帝)のハーレム(後宮)から逃げ出してきたアルメニア人(キリスト教徒)の少女を匿った。それに怒った暴徒が大使館に乱入し、グリボエドフを撲殺した上で、斬首した。グリボエドフは知識人らしく、周囲に流されずにノリの悪い生き方を貫いたのだ。
それではノリが悪くなった先に何があるのか。
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