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歴史に残る「哲学の古典」にして「究極のビジネス書」

歴史に残る「哲学の古典」にして「究極のビジネス書」

文:佐藤 優 (作家・元外務省主任分析官)

『勉強の哲学』(千葉 雅也)

出典 : #文春文庫
ジャンル : #ノンフィクション

『勉強の哲学』(千葉 雅也)

 私も千葉氏の意見に全面的に賛成する。知識人とは「言語偏重」の世界で生きる人たちなのである。この関連で重要なのは、小説に目を向けることだ。千葉氏は小説を読むことを推奨する。

 

〈小説的に世界を捉える。特定の価値観から「裁く」ような発想で世界を見るのではなく、小説では、人のやることは両義的、多義的であると考えて、解釈の交差点としての「ただの出来事」を記述している。

 恋人からの言葉は、愛の言葉であると同時に、そこには何か自分を責めるようなものが含まれているかもしれない。どんな言葉にも出来事にも、自分にとってプラスとマイナスがどちらも含まれている。そこで、プラス、マイナスどちらかに決めつけようとするのではなく、両義性あるいは多義性の状態を許容する――なかなかそれに「耐える」ことができない人もいるかもしれません――のが文学的態度だと言えると思います。

 というかおそらく、この感覚がわからないと小説、とくに純文学というものがわからないと思うんです。エンターテインメント小説ならば、人のふるまいや出来事の意味を単純化することで成立しているところがあると思いますが、純文学では両義性や多義性が重視されていて、出来事をありのままの複雑さで――一方的に価値づけするような表現を避けて――書こうとします〉(227~228頁)

文春文庫
勉強の哲学
来たるべきバカのために 増補版
千葉雅也

定価:770円(税込)発売日:2020年03月10日

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