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連続テレビ小説「エール」のモデルになった古関裕而、その80年の生涯とは

連続テレビ小説「エール」のモデルになった古関裕而、その80年の生涯とは

辻田 真佐憲

『古関裕而の昭和史』(辻田 真佐憲)

出典 : #文春新書
ジャンル : #ノンフィクション

『古関裕而の昭和史』(辻田 真佐憲)

 古関裕而は、昭和の日本を代表する作曲家である。明治に生まれ、大正に育ち、昭和のほぼ全般にわたって活躍し、平成に亡くなった。地元の福島市で音楽をほとんど独りで学び、東京に出てコロムビアと契約し、やがて大衆音楽で頭角をあらわして、ヒットメーカーとして不動の地位を確立した。多作で知られ、生涯の作品数は五〇〇〇曲ともいわれる。

 古関の特徴は、その仕事の途方もない幅広さである。ジャンルは、野球の応援歌から、レコード歌謡、戦時中の軍歌、ラジオドラマや映画の主題歌、舞台音楽、そして校歌や社歌まで。しかも、相対する組織同士や内容のものでもまったくお構いなしだった。

 古関は、阪神タイガースの応援歌「六甲颪」を作れば、読売ジャイアンツの応援歌「闘魂こめて」も作ったし、また早稲田大学の応援歌「紺碧の空」を作れば、慶應義塾大学の応援歌「我ぞ覇者」も作った。

 戦時中に「露営の歌」「暁に祈る」「若鷲の歌」などの軍歌を手掛けたかと思いきや、戦後には戦争の悲劇をテーマにした「長崎の鐘」「ひめゆりの塔」なども手掛けた。かといって戦後的な平和主義に傾いたわけではなく、「海をゆく」「この国は」などの自衛隊歌の作曲も辞さなかった。

文春新書
古関裕而の昭和史
国民を背負った作曲家
辻田真佐憲

定価:1,045円(税込)発売日:2020年03月19日

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