古関裕而は、昭和の日本を代表する作曲家である。明治に生まれ、大正に育ち、昭和のほぼ全般にわたって活躍し、平成に亡くなった。地元の福島市で音楽をほとんど独りで学び、東京に出てコロムビアと契約し、やがて大衆音楽で頭角をあらわして、ヒットメーカーとして不動の地位を確立した。多作で知られ、生涯の作品数は五〇〇〇曲ともいわれる。
古関の特徴は、その仕事の途方もない幅広さである。ジャンルは、野球の応援歌から、レコード歌謡、戦時中の軍歌、ラジオドラマや映画の主題歌、舞台音楽、そして校歌や社歌まで。しかも、相対する組織同士や内容のものでもまったくお構いなしだった。
古関は、阪神タイガースの応援歌「六甲颪」を作れば、読売ジャイアンツの応援歌「闘魂こめて」も作ったし、また早稲田大学の応援歌「紺碧の空」を作れば、慶應義塾大学の応援歌「我ぞ覇者」も作った。
戦時中に「露営の歌」「暁に祈る」「若鷲の歌」などの軍歌を手掛けたかと思いきや、戦後には戦争の悲劇をテーマにした「長崎の鐘」「ひめゆりの塔」なども手掛けた。かといって戦後的な平和主義に傾いたわけではなく、「海をゆく」「この国は」などの自衛隊歌の作曲も辞さなかった。
こちらもおすすめ
プレゼント
-
『赤毛のアン論』松本侑子・著
ただいまこちらの本をプレゼントしております。奮ってご応募ください。
応募期間 2024/11/20~2024/11/28 賞品 『赤毛のアン論』松本侑子・著 5名様 ※プレゼントの応募には、本の話メールマガジンの登録が必要です。