本の話

読者と作家を結ぶリボンのようなウェブメディア

キーワードで探す 閉じる
連続テレビ小説「エール」のモデルになった古関裕而、その80年の生涯とは

連続テレビ小説「エール」のモデルになった古関裕而、その80年の生涯とは

辻田 真佐憲

『古関裕而の昭和史』(辻田 真佐憲)

出典 : #文春新書
ジャンル : #ノンフィクション

『古関裕而の昭和史』(辻田 真佐憲)

 古関は、そのような時代にあって、あらゆる大衆音楽を手掛けた、唯一無二の存在だった。名前こそ教科書などではほとんど触れられないものの、その音楽はしっかりとあらゆる分野で根付き、浸透している。

 その頂点に君臨するものこそ、「オリンピック・マーチ」にほかならない。一九六四年の東京オリンピックは、経済大国日本の成人式だった。同種のイベントはふたたび行われても、あの輝きは二度とは訪れない。古関は、当時まだ存命だった山田耕筰、古賀政男、服部良一などをしのいで、その入場曲を作曲したのである。

 にもかかわらず、古関の生涯はよく知られていない。既存の評伝も、その幅広い仕事をかならずしも十分に捉えきれていない。

 では、この昭和史を奏でた作曲家は、いかなる人物であったのか。なぜこれほどまでの作品を残すことができたのか。そしてその作品は、昭和史でいかなる役割を果たし、今日にどのような影響を及ぼしているのか。本書の解明すべき課題はこれである。


(「はじめに」より)

文春新書
古関裕而の昭和史
国民を背負った作曲家
辻田真佐憲

定価:1,045円(税込)発売日:2020年03月19日

ページの先頭へ戻る