天下の文藝春秋さんには、作家を監禁して原稿を書かせるための「執筆室」が存在する。

 私はこの執筆室にめちゃくちゃお世話になっており、日々の缶詰生活については、これまでに様々なエッセイやイベントなどで面白おかしく語ってきた。

 曰く、

「ベッドが固くて薄い毛布しかない」

「近頃は公衆便所ですら見ないような冷たいトイレ」

「ユニットバスで〇キブリを見かけた」

「1週間ほどで必ず体調を崩す」

「洗濯のための一時帰宅を『仮出所』と呼ぶ」

 などなど……。

 現代においてこうまで缶詰生活をエンジョイしている作家は稀ということもあり、いわゆる私の鉄板ネタだったのである。

 ところが! なんとこの頃、監獄もかくやといった状況が見事に改善されてしまった。

 私がいたるところでネタにしまくっていたせいで、文藝春秋のえらい人の耳にまで執筆室ヘビーユーザーの恩知らずな愚痴が届いてしまったのだ。

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