先日、夕飯の釜めし(夕飯は編集さんが差し入れてくれたり自分で適当に買って来たりとまちまちなのだが)に頼んだ覚えのない茶碗蒸しがついていた。
どうしたのかと思ったら、編集さんが注文する際、またまた偉い人に「いつも釜めしばっかりじゃ栄養が偏るでしょ。茶碗蒸しつけてあげなよ」と言われたらしい。
めっちゃ気を遣われている。
本当に、文春の皆様のお心遣いが大変に有難く、今にも涙が出そうなのだが、いよいよこれで書けなきゃ腹を切るしかないという状況にまで追い込まれてしまっている。
ちなみに(もはや言うまでもないかもしれないが)この原稿もメイドイン執筆室である。
作家が原稿をいち早く上げられるよう、編集さん達は温かく、温かく、冷たくするなんてことは一切なく、蒸し焼きにする勢いの温かさでサポートして下さっている。
皆さまが本を手に取った時、それは(作家は言うに及ばず)たくさんの編集さん達の細やかな努力が結実したものでもあるということに、ちょっとでも思いを馳せて頂ければ幸いである。
阿部智里(あべ・ちさと) 1991年群馬県生まれ。2012年早稲田大学文化構想学部在学中、史上最年少の20歳で松本清張賞を受賞。17年早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。デビュー作から続く著書「八咫烏シリーズ」は累計130万部を越える大ベストセラーに。松崎夏未氏が『烏に単は似合わない』をWEB&アプリ「コミックDAYS」(講談社)ほかで漫画連載。19年『発現』(NHK出版)刊行。現在は「八咫烏シリーズ」第2部『楽園の烏』を執筆中。
公式Twitter
https://twitter.com/yatagarasu_abc
こちらもおすすめ