■ぷろぼの
ぷろぼの。
なんとも優しい響きである。
しかもひらがなだ。
表紙はパステルカラーのイラストで、気分よさそうにお酒を飲んでいる人物もいたりする。
なんだかほのぼのとした小説であるように思える――のだが、そんなことはない。
楡周平の長篇『ぷろぼの~人材開発課長代理 大岡の憂鬱』は、たしかにカリカチュアライズされた人物たちが立ち回りを繰り広げる“痛快なる活劇”である一方で、相当に心を痛めつける小説でもあるのだ。
■プロボノ
プロボノ。
ラテン語のpro bono publico、すなわち『公共の利益のために』の省略形であり、本業で身につけた知識や経験を活かし、ボランティアとして社会貢献することである。
本書の主人公である大岡義秀は、そのプロボノに関わっていくのだが、それは小説の中盤での話。序盤ではまず、大岡の仕事の模様が描かれる。
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