- 2020.05.12
- 書評
オタク最強! の生きざまを描き、「女子の呪いをとく力」を持った超ハッピーなエッセイコミック
文:アルテイシア (作家)
『まるごと 腐女子のつづ井さん』(つづ井)
出典 : #文春文庫
ジャンル :
#コミック・コミックエッセイ
というわけで鼻をしっかりかんだ後(花粉症なので)、イヤホンを鼻の穴にさしこみ、美少年がムチャクチャされるBLCDを再生してみた。して、その感想はというと「鼻の穴がムチャクチャ痛い」。
鼻の穴は伸縮性がないため、イヤホンをさすとキツキツで痛いのだ。そのぶん受けの気持ちを体感できるとも言える。
また、私はつづ井さんの漫画を読むたび、オタクのすさまじい熱量に感動する。
たとえば推し(部活系漫画のキャラ)のために、お守りマスコットを作る場面。「私たちが本当にマネージャーだったら、ここでフェルトの色、妥協するかな?」と手芸屋をはしごして、一針一針心をこめて縫う姿に「本気と書いてガチと読む」オタクのDIY精神を見た。
私の周りにも熱量の高いオタク女子たちが存在する。アラサーの友人は推しの漫画の聖地巡礼に出かけて「漫画と同じ角度で写真を撮りたくて、アスファルトに寝転んで撮影しました。12月の岩手県はクソ寒くて顔の皮膚が破れるかと思ったけど、心は燃えていました」と語っていた。ちなみに撮影中、通りすがりのおばあさんに「ハイキューさん?」と声をかけられたそうだ。
(ハイキュー‼/週刊少年ジャンプで連載中のバレーボール漫画)
炎天下だろうが大寒波だろうが、推しのイベントには這ってでも行き、グッズや薄い本をゲットするため行列に並ぶ。その武士(もののふ)魂、努力と根性に感服するが「アドレナリンが半端ないんで、その努力が楽しいんです、生きている実感が湧くんですよね」と彼女らは語る。
「何のために生きるのか?」と聞かれて「推しのためです」と即答できる人間は強い。「世間や他人が何を言おうが、自分はこれが好き」と言える人間こそ最強である。
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