- 2020.05.12
- 書評
オタク最強! の生きざまを描き、「女子の呪いをとく力」を持った超ハッピーなエッセイコミック
文:アルテイシア (作家)
『まるごと 腐女子のつづ井さん』(つづ井)
出典 : #文春文庫
ジャンル :
#コミック・コミックエッセイ
では、拙者はなぜこんなにつづ井さんが好きなのか? と考えると、女の友情とシスターフッドが描かれているからだと思う。
「BL以外の恋愛モノを見られない」「男女の恋愛に全然共感できなくてつらい」と落ち込むオカザキさんに「恋愛モノは、妖精界とか魔法界とかのファンタジーだと思うことにした」とライフハックを語る、つづ井さんの優しさ。
推しの死に向き合うため、夢女子妄想(『戦場のサンタクロース』)を泣きながら話すつづ井さんに「つらかったね」と寄り添ってくれる、友の暖かさ。「なんといういたわりと友愛じゃ…」と震えつつ、ババアも遠い記憶を思い出した。
私は中高と女子校に通っていたのだが、当時は教室で推しの葬儀が行われていた。後ろの黒板に遺影が飾られて花やお菓子が供えられ、「こんなに悲しいのなら苦しいのなら、愛などいらぬ…推しさん…!」とサウザーばりに慟哭する友をみんなで慰めていた。
(サウザー/『北斗の拳』の登場人物。「愛深き故に愛を捨てた哀しい男」と呼ばれる)
ちなみに昼休みは教室の後ろで相撲をとって、黒板に星取表を書いていた。そんな女子校育ちの私は現在も老若女女の友人たちと集まっては声が嗄れるまでしゃべり倒し、「女に生まれてよかった‼」(CV=天龍源一郎)と寿いでいる。
(天龍源一郎/ハスキーボイスと滑舌の悪さがチャームポイントの元プロレスラー)
同様に、つづ井さんの漫画を読むと「女に生まれてよかった」と思えるのだ。ジェンダーギャップ指数121位のヘルジャパンで、生きづらさと将来不安のデスロードだけど、それでも女友達がいれば大丈夫、きっと楽しく生きていけると。
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