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オタク最強! の生きざまを描き、「女子の呪いをとく力」を持った超ハッピーなエッセイコミック

オタク最強! の生きざまを描き、「女子の呪いをとく力」を持った超ハッピーなエッセイコミック

文:アルテイシア (作家)

『まるごと 腐女子のつづ井さん』(つづ井)

出典 : #文春文庫
ジャンル : #コミック・コミックエッセイ

『まるごと 腐女子のつづ井さん』(つづ井)

 つづ井さんも「私ここまで一人で楽しめるの本当に生物として最強なんじゃないかなって思えた」と本書で描いている。

 マスキングテープでキャラの身長を比べて「一人でこんなに楽しい夜を過ごせた…いや~最高~やってよかった~」と噛みしめ、三連休は家にこもって漫画とアニメ三昧で「自分でもびっくりするくらい充実した連休を過ごせた…自分が誇らしいくらいや…」と振り返る、つづ井さん。

 この自分で自分を楽しませるエンタメ力がすごい。「彼氏がいないと退屈だから」という理由で彼氏が途切れない女子もいる一方で、オタク女子こそ真のリア充なんじゃないか。私はそんな(リアルの)男いらずで生きられる彼女らを「完全生命体」と呼んでいる。

 完全生命体タイプの20代の友人は「職場でオタクを公表したら、面倒な人にからまれなくなりました」と語る。

「彼氏いないの?」などウザい質問をされたら「それより推しに夢中なんで!これこの前のイベントの写真なんですけどヤバくないですか?うちの推しヤバすぎません?」と早口でしゃべりまくると、相手は「しまった」という顔をするらしい。

「私は推しの話ができて楽しいし、相手は二度とからんでこないし、良いことずくめです」と彼女。また「マルチや宗教の勧誘もされたことないんですよ。私が推しに課金しまくってオタ活が忙しいのを知ってるから、こいつはハマらないとスルーされるみたいです」とのこと。

 やはりオタク最強である。なにより彼女らはハチャメチャに楽しそうなので、「つけいる隙がない」と思われるのだろう。

 とはいえ、そんな彼女らも悩みがないわけじゃない。私が考えるつづ井さんの最大の魅力、それは「女子の呪いをとく力」である。

文春文庫
まるごと 腐女子のつづ井さん
つづ井

定価:990円(税込)発売日:2020年05月08日

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