先日、松崎夏未さんによる漫画版『烏に単は似合わない』が無事に完結を迎えました。およそ2年もの間、講談社の「コミックDAYS」にて連載されていたわけですが、もうそんなになるのかと非常に感慨深いです。
実は企画段階でコミカライズされる予定だったのは、八咫烏シリーズ2作目である『烏は主を選ばない』のほうでした。シリーズ1作目の『烏に単は似合わない』は、私にとっては思い出深いデビュー作ではあるのですが、同時に読者の方から厳しいご意見の絶えない問題作でもあります。
しかも1冊の中で起承転結がおさまる小説とは異なり、漫画は発表形式が連載であり、本になる時も数冊に分かれてしまいます。前半と後半でガラリと雰囲気が変わる話ですから、前半の雰囲気が好きで読み進めて下さった方は後半で愕然としてしまい、後半の雰囲気が好きであろう方はそもそも前半で読むのをやめてしまうという、漫画化には非常にやっかいな性質を持っているのです。
さらに、場面は全編を通して小さな宮殿の中、アクションシーンはほとんどなく、そのくせ登場人物の多くは十二単を着ているという作画コストの高さ。正直なところ、私自身「『烏に単は似合わない』の漫画化は無理だろうなぁ」と諦めているところがありました。
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