そこでふと、今回の「ひとめぼれ」のお話の中では、己(おのれ)で決断していき行動していくたくさんの女性たちの姿が、麻之助や清十郎、吉五郎の人生に交わりあったり通り過ぎて行ったな、と思いました。江戸の縁談・婚姻は己たちの意思よりも先に決められます。それにどれだけ当人たちが見切りや、折り合いやけじめを心につけていくかが、「まんまこと」シリーズでは長く描かれている様に思いますが、身を切られて傷ついた想いをすっぱとできずに、引きずっていくことになるのはその制度を決めて実行しているはずの男性たちのほうなのかもしれない。そしてそうやってずっと「悩める」ことこそが江戸の男性の、麻之助の特権なのかもな、ともはじめて思いました。女性たちはお由有さんをはじめ、どんどん先に進んで行かざるを得ません。漫画版「まんまこと」の最終ページ、麻之助がお寿ずさんに手を引かれて結納に連れて行かれるシーンを描きました。そんな調子で、もしかしたらまた誰かに引っ張ってもらえたら麻之助は心からお気楽になれるのかな。そんな彼の手を引いて勝手に走っていくような女性のイメージが、「心の底」に登場するお雪さんに見えたので、私はまた一つ、大きく納得をしていました。
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