
「かぶき伊左」で幕末、「まんまこと」で寛政期を描いたので、いま連載中のBL漫画「百(もも)と卍(まんじ)」は、文化文政期を描いています。天保の改革の少し前で、陰間(かげま)(男娼)茶屋の流行が終わりかけている頃が舞台です。陰間あがりの青年・百樹(ももき)と、元火消しの卍の恋――江戸時代を舞台にしたBL漫画はほとんどなかったので、絶対に描きたかったものです。この作品は二〇一九年の文化庁メディア芸術祭マンガ部門で、BL作品としては初めて、優秀賞を受賞しました。最初は、これほど話題になるとは全く思ってなかったので、いま多くの読者がついてくれていることは、すごく嬉しいですね。百と卍のキャラクターの人気は偏ることなく仲良く半々で、男性の読者も多いです。
「かぶき伊左」と「まんまこと」は、表現で言うと光、江戸に感じる憧れや輝きの華やかなイメージを描こうとしました。「百と卍」では、逆に影を大事にして、陰りの中にある営みの愛しさのことを描こうとしています。真反対ですね。
「まんまこと」シリーズはとにかく自由にやらせていただいたのが、すごく嬉しかったです。いまの漫画家としての自分を育ててくれた作品、これからも一読者として、麻之助の成長を楽しみにしています。
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