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「まんまこと」シリーズは「百(もも)と卍(まんじ)」につながる、漫画家としての原点

「まんまこと」シリーズは「百(もも)と卍(まんじ)」につながる、漫画家としての原点

文:紗久楽 さわ (漫画家)

『ひとめぼれ』(畠中 恵)

出典 : #文春文庫
ジャンル : #歴史・時代小説

『ひとめぼれ』(畠中 恵)

 玄関で裁定をする……玄関ってどのくらいの広さなんだろう? これは実際に江戸川区に現存する「一之江名主屋敷」を取材して、参考にしました。

 江戸時代は識字率もあがり、出版も盛んだったので、資料がたくさん残されているのは助かります。単行本にまとめるとき、二巻と三巻にはちょっとしたコラムを入れました。「江戸の結婚」「江戸の色事情」「江戸ペット事情」……他には「名主屋敷間取り図」。知っていると、もっと読者の方が読むのが楽しくなるかなあ、と思ったので。

「まんまこと」は江戸後期のはじめ、「寛政」期で、「粋」な風俗ど真ん中。この時代をたくさん描けたのは、本当に楽しくて、まさに「私、生きてる!」と感じました(笑)。

 小説には出てこない、漫画版オリジナルの部分もあります。麻之助の癖である“狐(きつね)の窓”のポーズ。江戸時代のまじない手遊びの一種で手の親指と人差し指で丸を作って、目に当てる――この窓を通して物を見ると、本当のことがわかる。「まんまこと」(=本当のこと)という第一話のタイトルが、すごく素敵だな、と思ったんです。裁定のシーンや、見せ場となるところでするポーズですが、これをなんと、ドラマ(NHK木曜時代劇「まんまこと~麻之助裁定帳~」二〇一五年に放映)が取り入れて、麻之助役の福士誠治さんが、番組の中で実際にやってくださったんです。これは嬉しかったですね。

お調子者の跡取り息子、ついに後妻を取る!?まんまことシリーズ第七弾『かわたれどき』畠中恵

文春文庫
ひとめぼれ
畠中恵

定価:748円(税込)発売日:2020年06月09日

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