中学生の時からずっと村上さんの文章のとりこだったと語る佐渡島さんと、中学生の時に急逝した父が村上さんの大ファンだったゆえ、なぜか作品に手が伸びなかったという岸田さん。村上作品へのスタンスが対照的な2人が、最新刊『猫を棄てる 父親について語るとき』を手に取った。読み終えたあと、2人はどんなことを考えたのか。溢れ出す想いを語り合った。
村上さんは、いちばん会話をしてきた人
岸田 わたしは『猫を棄てる』で、はじめて村上さんの本を読みました。
佐渡島 村上さんの作品って、岸田さんの好みのど真ん中の気がするけど、読んでなかったのは意外!? 何か理由があるんですか?
岸田 中学生のときに亡くなった父が、村上さんの熱狂的なファンで。ヘタな感想を言おうものなら「お前は村上春樹をわかってない!」ってやかましく言われそうで、気になるけど読めずにいました(笑)。それがなぜか、今までズルズルと。
佐渡島 なるほど。確かに、それは読むのを躊躇しそう。今回は、いいきっかけになったんですね。これから村上さんにハマるということは、たくさんの作品を一気に読めて、楽しみがいっぱいあって、うらやましいですね。今回、読んでみて、どうでした?
岸田 読み終わってから「なんでもっと早く読まなかったんだろう」って、後悔しました。それで次に、デビュー作の『風の歌を聴け』を読んで、一作ずつ村上さんの軌跡をたどっています。めちゃくちゃ贅沢です。
佐渡島 『風の歌を聴け』は僕も大好きな作品! 中学生のころにはじめて出会って、もう何十回も読んでるなあ。一番繰り返し読んだ作品かも。
岸田 佐渡島さんにとって、村上さんはどんな作家さんですか?
佐渡島 僕がいちばん会話をしてきた人かもしれない。
岸田 そんなにお会いしたことがあるんですか?
佐渡島 一度もないんです(笑)。
岸田 どういうこと(笑)!?
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