- 2020.07.23
- 書評
新たなミステリーの世界を創造し続ける、定石破りの天才!! 傑作ミステリー。
文:細谷 正充 (文芸評論家)
『ドローン探偵と世界の終わりの館』(早坂 吝)
出典 : #文春文庫
ジャンル :
#エンタメ・ミステリ
ところで作者は「読者への挑戦状」で、トリックが出尽くしたという意見に与しないといい、ふたつの理由を挙げている。ひとつは、「日進月歩の社会が絶え間なく新しいアイデアを供給してくれるからだ」。そしてもうひとつの理由として、「人の思考が限りなく自由だからだ。想像の翼が羽ばたけば無限のトリックが生まれる」と書いている。そういえば、デビュー作の「著者メッセージ」で、
「私は新しいことをやるのが好きなのです。王道の大切さは重々承知していますが、それでもやはり、誰も通ったことのない道を切り開くことに創作の喜びを感じます。これからもどんどん自分が新しいと思う作品を書いていきますので、応援していただけるととても嬉しいです。」
とも、いっているではないか。こうしたチャレンジングな姿勢が、トリックやアイデアと結びついたときに、本書や、仮想空間を舞台にした『アリス・ザ・ワンダーキラー』、人工知能の名探偵と名犯人が登場する「探偵AI」シリーズのような作品が生まれるのだろう。だから私たちの社会は、進歩し続けなければならない。これからも早坂吝に、新たなミステリーの世界を創造してもらうために。
こちらもおすすめ
プレゼント
-
『赤毛のアン論』松本侑子・著
ただいまこちらの本をプレゼントしております。奮ってご応募ください。
応募期間 2024/11/20~2024/11/28 賞品 『赤毛のアン論』松本侑子・著 5名様 ※プレゼントの応募には、本の話メールマガジンの登録が必要です。