- 2020.10.20
- インタビュー・対談
新総理・菅義偉の唯一の著書からわかる、政治家の信念とは何か。
菅 義偉
『政治家の覚悟』(菅 義偉)
出典 : #文春新書
ジャンル :
#政治・経済・ビジネス
「政治の空白」は許されない
第二次安倍内閣が発足して以来七年八カ月にわたり、内閣官房長官として安倍晋三総理のもとで日本経済の再生、外交・安全保障の再構築、全世代型社会保障制度の実現という、この国の未来を左右する重要課題に取り組んできました。
今年に入ってからは新型コロナウイルス感染症の拡大というかつてない国難に直面する中で、感染拡大と医療崩壊を防ぎ、同時に社会経済活動を両立させるという課題に真正面から対処してきました。こうした中で、陣頭指揮を執っていた安倍総理が自身の体調によって道半ばで急遽退かれることになりました。前総理の無念の思いを推察致します。
しかし、この国難への対応には一刻の猶予もなく、「政治の空白」は決して許されません。この危機を乗り越え、全ての国民の皆さまが安心できる生活を一日も早く取り戻すために、安倍前総理が全身全霊を傾けて進めてこられた取り組みをしっかり継承し、私の持てる力を全て尽くしてさらに前に進める覚悟です。
政治家を志した原風景
私は雪深い秋田で農家の長男として生まれました。子どもの頃は水道がなく、家の前の堰に流れる水で毎日顔を洗っていたものです。すごく冷たくて、冬には手がしびれるほどでした。今でも毎朝、冷たい水で顔を洗うと、当時が思い出されます。
中学では同級生が百二十人くらい。その半分が卒業して東京に集団就職し、残りの六十人のうち三十人は農業などの家業を継ぎました。高校へ行ったのは三十人くらいしかいません。私もその一人です。高校時代は、漫画『釣りキチ三平』のモデルになった役内川が実家の近くにあり、そこで渓流釣りばかりしていました。
高校を卒業すると、多くは農業を継ぎます。しかし私は、すぐに農業を継ぐことに抵抗を感じ、違う世界を見てみたいとの思いから、高校卒業後に、家出同然で東京へ出ました。東京には何かいいことがあると思っていたのです。一足先に上京していた中学時代の同級生が、お盆などに秋田に帰郷すると、「東京はこんなところだ」と話をしてくれていたので、それを聞いて変な憧れを持っていたのかもしれません。日本がちょうど右肩上がりで、そんな雰囲気が漂っていた時代でした。両親は「まあ、長男坊だからいずれ帰ってくるだろう」と思っていたのでしょう。
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