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ある日「幻視」した未来に震え、ぼくは書き始めた。『手を伸ばせ、そしてコマンドを入力しろ』の新鋭による希望の物語

ある日「幻視」した未来に震え、ぼくは書き始めた。『手を伸ばせ、そしてコマンドを入力しろ』の新鋭による希望の物語

藤田 祥平

特別掲載に寄せて

出典 : #別冊文藝春秋
ジャンル : #エンタメ・ミステリ

「別冊文藝春秋 電子版34号」(文藝春秋 編)

『すべてが繫がれた世界で』―年表

 2020年代末、人類総オンライン化。受信機と発信機をそなえた、自己増殖する極小の有機機械、スマートダストが、右傾化した複数の国家によって秘密裏に散布された。この機械は、人間の呼吸器や胃腸から吸収され、脳に癒着する。癒着された脳は、物質中や大気中のスマートダストの伝播によって、情報をやり取りする。

 2032年5月14日、第三次世界大戦勃発。相互確証破壊の均衡がやぶれ、自動報復システムが予定通り機能し、東京と沖縄をふくむ世界の主要都市が核によって蒸発した。

 2033年5月14日、大気中のすべてのスマートダストが変異し、病原体となる。潜伏期間はゼロ日から22年。この病原体が引き起こす症状は、22歳以上の人類にのみ発症し、発症後は数分で全身の細胞が癌化し、死にいたる(大災厄)。関東平野の壊滅と東海第二原発のメルトダウンにより居住不可能となった東日本の生き残りの子供たちが、救世軍を編成。このグループは中日本の生き残りを吸収しながら西進し、京都に到達。救世軍はここを本拠地とし、旧日本国の情報インフラストラクチャを掌握。また、旧国立理化学研究所に安置されていた量子コンピュータ「オフィエル」を奪取、同メインフレームにSAI(Supervisor Artificial Intelligence)「リベルテ・エガリテ・フラテルニテ」をインストールし、選択的共産主義の運用モデルを設計した。

 2034年、救世軍は解体して日本国建国を宣言。首都は京都。初代首相はもと救世軍リーダー、鹿糠信子(当時14歳)。日本国、北海道連邦との国交成立。ほか、諸外国との国交成立。

別冊文藝春秋からうまれた本

別冊文藝春秋 電子版34号(2020年11月号)
文藝春秋・編

発売日:2020年10月20日

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